新型コロナウイルスの影響でNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送が休止となっているが、主人公の明智光秀が激戦を繰り広げた兵庫県丹波篠山市の山城「八上城跡」で登山客が増えている。昨年、ふもとに約20台分の駐車場ができたことと、城跡が残る高城山山頂付近の木を伐採したことが後押しとなり、地元の登山客も多くなっているという。
八上城は光秀が織田信長の命を受けて行った「丹波攻め」の激戦地の一つ。城主の波多野秀治は長期にわたって籠城戦を繰り広げた末に敗れている。
地元・八上校区まちづくり協議会副会長で、「八上城麒麟がくる委員会」委員長の小野健二さん(42)は、「個人的に案内を頼まれることも多く、5月は3組20人弱を案内した」と話す。「コロナの影響で、個人での登山客がむしろ増えていると感じる」と小野さん。同まち協への電話問い合わせも多いという。
昨年から、健康づくりのために週2、3回、高城山登山を始めたという地元の男性は「整備されて登りやすくなったので通うようになった。平日でも数台は車が停まっている。山に登って、途中で誰にも出会わなかった日はない」と話す。
緊急事態宣言解除後の5月29日、小中学生の2人の息子と訪れていた神戸市北区の男性は「職場の同僚から日帰りで行けると聞いて来た。散歩がてらと思っていたが、結構ハードだった」と話していた。
「麒麟がくる」の放送は延期になっているが、小野委員長は「全く問題ない」と前向きな受け止めだ。
「『八上城』と城主の『波多野(秀治)』の読み方は、ともに濁点のつかない『やかみ』『はたの』だが、間違える人も多く、まだまだ知名度が低い。大河をきっかけにPRのチャンスをいただいていると思っている。たくさんの人が訪れている黒井城(隣接する丹波市にあり、同じく光秀と戦った赤井直正の居城)を“お手本”に、放送が終わってからも来てもらいたい」と力強く話している。