昔は「糸」でした 七夕の歴史ひも解く展示 願い叶う五色の飾りや伝説紹介

2020.07.03
歴史

五色の糸を飾るなど、古代の七夕が再現された館内=2020年7月2日午後3時44分、兵庫県丹波篠山市西新町で

もうすぐ「七夕」―。兵庫県丹波篠山市西新町の「武家屋敷安間家史料館」で七夕の節句にちなんだ展示が始まった。七夕の歴史などを紹介したパネルのほか、七夕の原型ともされ、短冊ではなく五色の糸を飾る展示も。江戸時代に建てられた武家屋敷の中で、古式ゆかしい空間が広がっている。

 七夕は、「しちせき」とも読み、年間の節目となる行事を行う「五節句」の一つ。
 歴史を伝えるパネルでは、中国から伝わった織姫と彦星の伝説や、「乞巧奠(きっこうでん)」と呼ばれる星祭りのほか、乙女が着物を織って棚にそなえ、神を迎えて秋の豊作を祈り、人々のけがれを払うという日本古来の行事「棚機(たなばた)」など、さまざまな行事や伝説が組み合わさって、現在の七夕が成り立っていることを紹介した。
 「乞巧奠」は、五色の糸を使った「願いの糸」を竹竿の先に飾って星に祈ると、3年の間に願いが叶うとされるもの。色と意味は、▽青=「徳を積む」▽赤=「父母や祖先への感謝の気持ち」▽黄=「信頼」▽白=「義理や決まりを守る」▽黒=「学業の向上」―で、平安時代には宮中や貴族の間で行われるようになったという。
 この行事が江戸時代になると庶民に広がり、そなえるものが糸から布、紙へと変わっていき、現在の形になったとされる。
 笹や竹を使うのは、まっすぐに伸び、生命力にあふれている神聖な植物とされ、厄除けの力があるからという。
 同施設では、織り機をイメージした木組みや五色の糸を飾るなど、かつての七夕を再現しており、「コロナ禍の中だが、七夕を普段と違った角度で楽しんでもらえたら」と話している。
 展示は7日まで。無料で短冊を笹飾りにつけられるコーナーもある。

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