基礎で「夏涼しく冬温か」 湿気少ない床下環境も実現 特許取得「家の耐久年数も延伸」

2020.07.20
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特許の肝の一つ、「外側断熱」と基礎上面のゴムパッキン

兵庫県丹波市柏原町の住環境アドバイザー、上郡清政さん(70)が経営する建築コンサルタント会社「住まいの権(ごん)」が、建物の基礎構造に関わる特許を取得した。コンクリートの温まりにくく冷めにくいという特性を生かし、基礎のコンクリートに夏の地中熱を蓄えることで、床の表面温度を年中17―26度台(午前7時計測)に保ち、体感的に「夏は涼しく、冬は温かく」を実現。冷暖房代の節約や、冬季の足元からくる冷えも解消されるとしている。

建物の基礎構造に関わる特許を取得した「住まいの権」の上郡清政社長=2020年7月16日午後3時23分、兵庫県丹波市柏原町北山で

コンクリートの特性を生かしつつも、水分を含んでしまうと気化熱で蓄えた熱が奪われてしまうため、常に乾燥していることが必須条件。そのため防水性を高めた基礎造りが肝という。

基礎のベースを造成する際、地面からの湿気を遮断するため、まず分厚い防水シートを二重に張った上に厚み5センチでモルタルを流して補強し、厚さ30センチでコンクリートの基礎を築く。また屋外からの熱気や冷気を防ぐため、基礎の外側に断熱材を張り、シロアリが断熱材を食い破って侵入してこないよう、その表面をステンレスメッシュで覆って、さらにモルタル塗装をして仕上げる。

基礎の上面にはゴムパッキンを置き、その上に土台の木材を乗せることで、コンクリートと木材の密着部分の通気性を高めている。

上郡さんは、この理論で家づくりを始めた2002年から毎日、屋内外と床下の気温と湿度、床表面温度を記録している。記録によると17年12月19日、マイナス4度まで冷え込んだ朝でも床表面は18度だった。また床下の湿度は梅雨時期でも60%を超えることはないという。建築2年目ごろから効果が体感できるという。

上郡さんは、「床下に何ら電気機器を使わなくても、湿気の少ない床下環境が維持でき、床表面温度も17―26度を保てるので、避難所にもなる公民館のほか、保育園、高齢者施設などにも有効。湿気のない床下には防腐剤や防蟻剤は不要。土台や柱が腐りにくいと家の耐久年数も延びる」とメリットを説明し、「将来、今まで以上に省エネやエコ生活の考え方が進む。そのとき、この基礎構造は必ずスタンダードになることを確信している」と力を込めた。

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