梅雨前線の活発化で甚大な豪雨災害となっている九州地方を支援しようと、兵庫県丹波篠山市京町のNPO法人「P・U・S(バングラデシュの村を良くする会)」の岩下八司理事長(70)らが8―10日、熊本県を訪れ、熊本地震以来、親交のある現地の団体を通して被災者に支援物資を届けた。東日本大震災をはじめ各地の被災地に赴き、支援活動を展開してきた同法人だが、現在の九州地方は、河川の氾濫や土砂災害など、いまだ危険な状態にあるため、今回は細心の注意を払いながらの物資運搬と現状把握のみ行った。今後も支援活動を継続すると言い、市民にも物資の提供などの協力を求める。
運んだ物資は、サージカルマスク5000枚と消毒液60リットル、水600リットル、デッキブラシ50本、ごみ袋2000枚、タオル200枚。いずれも熊本県西原村にあるNPO法人「にしはらたんぽぽハウス」から、必要な物資として支援を求められたもので、つながりのある公益財団法人「日本国際育成支援機構」や株式会社「MohReve」などから提供を受けた。
岩下さんらは「たんぽぽハウス」をへて、同県南部の人吉市や八代市、芦北町の避難所などに物資を届けた。マスクや消毒液、水などは避難所での新型コロナウイルスの感染予防に、デッキブラシなどは浸水被害を受けた住宅の清掃などに活用してもらう。
同法人は普段、バングラデシュで学校を建設するなどの教育支援活動を行っているが、災害発生時には費用を捻出し、緊急支援活動を展開している。
2016年の熊本地震時にも現地に入って、がれきの撤去や支援物資の運搬、破損した建物の補修などに取り組んだ。その中で、震度7を観測し、甚大な被害を受けた西原村に入り、全国から訪れるボランティアの拠点になっていた「たんぽぽハウス」に協力。以後も交流を続け、岩下さんが作っているバングラデシュカレーのレトルト化に共同で取り組むなどしてきた。
今月4日からの豪雨災害を受け、比較的被害の少なかった「たんぽぽハウス」は、支援活動を展開するための情報収集をスタート。必要な場所に必要な物資を届けるため、岩下さんらにも協力を仰いだ。
コロナ禍の中、ボランティア作業などは被災県内の人に限られているケースもあることから、岩下さんらは県外からの支援の受け入れ態勢が整った段階で、再び現地に赴いて支援を行う予定。
長年の経験と現地での聞き取りから、今後も長期にわたってタオルや肌着、ゴム手袋、長靴、高圧洗浄機などが必要になると判断しており、寄付を呼びかけている。現地に赴いたり、物資を購入したりするための寄付金も募る。タオルや肌着などは新品に限る。
本格的な復旧支援活動に入る段階では、小型のタイヤショベルや2トントラックなどが力を発揮するため、車両の寄付も呼び掛ける。
岩下さんは、「川があるところは全て被害があり、避難者も疲れている。橋が落ち、物資が届けられない場所も多い」と言い、「ちょっとでも困っている人に喜んでもらえたら。『感・即・動』(感じたら、即、動く)で支援を続けたい」と話している。