「打たれない投手に」 プロ注目右腕・中森俊介君(明石商業) 高校野球生活「大きく成長できた」

2020.08.22
地域

兵庫県夏季大会5回戦で力投する中森君=2020年8月7日午後4時24分、兵庫県明石市で

兵庫県丹波篠山市出身で、明石商業(同県明石市)硬式野球部に所属する中森俊介君(3年)。8月に行われた県の代替大会や「甲子園高校野球交流試合」などでの活躍したプロ注目右腕に、約2年半の高校野球生活を振り返ってもらった。

―約2年半の高校野球生活を振り返って

1年生のときから試合に出させてもらい、大人数の中でもまれながら精神的にも強くなれたし、体も大きくなれました。何より監督が偉大なので、人間的に大きく成長できました。内容の濃い、充実した2年半だったと思います。

―自分の中で特に成長できたと感じる点は

1年生の夏の甲子園では、最後に高めに浮いたスライダーを打たれて負けてしまった。そこからはいつも低めを意識したピッチングができるようになりました。昨年の夏の甲子園の履正社戦では、考え過ぎて初回から崩れてしまいました。その試合以降は、初回から自分のボールに自信を持って投げられるようになり、球数も減らせるようになりました。2年、3年になって、負けの経験が生きてきました。

地元の酒井市長を表敬訪問した中森君=2020年8月21日午後1時55分、兵庫県丹波篠山市北新町で

―完投勝利した先日の甲子園交流試合(桐生第一戦)を振り返って

あまり調子は良くなかったけれど、序盤はリズムよく投げられたので良かったです。後半になるにつれて球威が落ちてくるという課題もみえたので、自分にとってはすごくプラスになる試合でした。

―地元からの声援やパワーは感じたか

友だちや中学の先生が試合前にメッセージをくれて、とても力になりました。松田淳二先生(当時、丹波篠山市立篠山東中野球部顧問)からは「いつも通りに、深く考え過ぎずに平常心で、仲間と自分のやってきたことを信じて」とメッセージが届きました。

―今年は例年とはまったく違う夏になった。特に意識したことは

県の代替大会は、試合ごとにメンバー変更が可能だったので、「3年生全員が出られるように」をチームの目標に掲げていました。エースナンバーを背負っている以上、無失点で次の試合につなぎ、全員が出られるようにしなければと思っていました。

―最高学年の1年間(2年秋―3年夏)はどんな年だったか

秋からふがいないピッチングが続いて、チームに貢献できませんでした。この夏も自分の中で良いピッチングができたかと言われると、あまり良くなかったですし、満足というよりは、後悔の方が多い1年でした。

―丹波篠山市長への表敬訪問で、地元に戻って来た

こうして帰ってきて、たくさんの方に迎えてもらい、うれしいですし、これからの進路に向けて「頑張らないとあかんな」と思います。

―地元は自分にとってどんな場所か

静かで空気がおいしい。落ち着くし、住みやすい場所だと思います。

―これからどんなピッチャーを目指すか

「打たれないピッチャー」になりたいです。先発としてもっとスタミナをつけて、9回まで投げても余力があるぐらいに。一番の目標は奥川(恭伸)さん(元星稜高校、現ヤクルト)。昨年の国体で話す機会がありました。終盤になっても球威が落ちないし、同年代で一番完成されているピッチャーという印象があります。

―2年半の間で最も印象に残っている試合は

昨年夏の県大会の決勝、神戸国際大附属戦です(4―1で勝利)。1年のときは先輩がいて、チームの主軸ではなかったけれど、2年になってからは1番をつけられるようになりました。「何がなんでも甲子園に行かないといけない」というプレッシャーがある中で完投でき、甲子園へ行けたというのが自分の中でうれしかったです。

―今後の進路は

まだ時間があるのでゆっくりと考えたいです。監督からは「夏休み中に親と話して、考えを決めてくるように」と言われています。

―家族の存在について

下宿で実家を離れて生活することで、いつも当たり前のようにしてくれていたことが、当たり前じゃないなと思いました。兄は、帰省したときはいつも迎えに来てくれたり、面倒を見てくれたりします。両親は、帰ってきたらいつもおいしい料理を作ってくれるし、自分のことをいつも気にかけてくれています。その分、期待されているなと感じるので、もっと頑張らないといけないなという気持ちが強くなりました。感謝しかないです。

中森俊介(なかもり・しゅんすけ) 右投げ、左打ち。182センチ、88キロ。小学校時代に地元の「多紀野球少年団」に入団。その後、篠山東中学校では軟式野球部に所属し、3年夏から硬式野球チーム「三田ボーイズ」でもプレー。明石商業では1年夏からベンチ入りし、今夏までに4回(今春は新型コロナウイルスの影響で中止)の甲子園を経験。2年時は春夏共にエースとしてチームを4強に導いた。ストレートの最速は151キロ。球種はスライダー、カーブ、スプリット、チェンジアップ。

関連記事