農業と自然環境つなぐ
JR篠山口駅構内にある丹波篠山市・神戸大学農村イノベーションラボで9月から始まる、篠山イノベーターズスクールの実践型学習の一つ、「里地里山創造のコミュニティビジネス」の講師を務める。同時に、同市古市地区の住民と同スクール生が一緒に学ぶ「古市未来創造塾」を立ち上げ、里地里山の活用法を模索する。
丹波篠山吉良農園の代表。化学肥料、農薬を使用せず、約1・5ヘクタールで年間約60品種の野菜やハーブを栽培、主にレストランに卸している。「野菜づくり、人づくり」をモットーに、農業と自然環境をつなぐ人財づくりにも取り組む。
篠山鳳鳴高出身。陸上部主将を務め、三段跳びで県総体4位、近畿大会に出場。生徒会副会長も務め、「高校時代は父が営む農業の手伝いもせず、継ぐ気もなかった」という。「環境問題に関心があり、化学好きだった」こともあり、京都大学工学部に入学。三段跳びを続けながら、関西学生陸上競技連盟京都支部長を務めた。年間約20回の大会運営は激務。「いま振り返ると、いろんな課題を解決する場になり、社会勉強にもなった」
卒業後、化学メーカーに就職。タッチパネル中の「透明電極」の開発に携わって4年後、農村や農業の課題が耳に入るようになり、「小さいころに遊んでいた美しい野山や川は農業のおかげ」と思うようになり、「課題解決に取り組む人が圧倒的に少ない」と感じ、農業へ転向。2018年3月、妻と4人の子どもと実家へUターンした。里地里山の課題解決の一つとして草刈りグループを結成。「目標は農業を通して、世間の農村や自然の見方を変えたい」35歳。