ギンナンが葉の上に実るオハツキイチョウが、兵庫県丹波篠山市で4年ぶりに見つかった。イチョウの突然変異といわれ、県内では1例しか確認されていないという珍しい現象。土地を所有する西田敏夫さん(82)は「特に変わったことはしてへんのになあ」と苦笑いを浮かべている。
イチョウは中国原産で、雌雄異株の裸子植物。全国の寺院や公園に植えられ、街路樹としても親しまれている。通常の雌のイチョウは、葉と別にギンナンが実るが、オハツキイチョウは葉の上にギンナンが付く。この様子から「お葉付き」と命名されている。
イチョウは樹高約20メートル、幹回り約5メートル。西田さんがオハツキイチョウを初めて確認したのは2012年の暮れ。自宅のポストに、愛知県在住の自然愛好家を名乗る男性から、オハツキイチョウがなっていることを知らせる手紙が入っていた。後日、木を見に行き、珍現象を確認。以来、数年に一度の頻度で見られるようになったという。
西田さんは8月初旬、木の周辺の草刈りをしていた際に気付き、9月22日現在で、13個のオハツキイチョウを見つけた。
西田さんの一報を受けて駆け付けた、ささやまの森公園運営協議会会長を務める樋口清一さんは「色んな木を見てきたけれど、初めて見た現象」と驚く。
兵庫県立人と自然の博物館(三田市)の石田弘明主任研究員によると、天然記念物として県や市などに報告されているのは全国でも数十本しかなく、県内では、加西市にある「殿原のイチョウ」(県指定文化財)でしか確認されていない現象だという。石田主任研究員は「他にはない『地域の宝物』として見守りながら、保全してほしい」と話していた。