兵庫県丹波市など主催の「丹(まごころ)の里 人権のつどい」がこのほど、同市内で行われ、約320人が来場した。新型コロナウイルスの感染が広がる中、同市人権・同和教育協議会の大西誠会長が、「新型コロナウイルスと人権」と題して講話した。
大西会長は「コロナ禍における人権侵害の現実は、全てコロナウイルスがもたらしたものなのだろうか」と問題提起。インターネットやSNS(交流サイト)の匿名性を悪用した言葉の暴力や差別、自粛警察と呼ばれる、行き過ぎた正義感による憎悪行為などを例に、「水面下に隠れていたかのように見えていた課題、問題点が可視化され、顕在化したのではないか」と述べた。
医療従事者の家族などに対する、「保菌者扱いされ、出勤停止要請が出された」「ネットで住所や職場、個人名が拡散された」「集団感染が起きた学校の生徒が中傷された」などの差別の実例も紹介した。
また年末年始の正月帰省を前に、県から「東京・大阪など感染拡大地域への不要不急の往来自粛」などが求められたことについて触れ、「人の移動と接触を制限することが合理的と捉えたものの、制限とは全面禁止ということではない。誰にもそれぞれの事情があり、生活がある」と前置き。その上で「個人レベルで、できる限りの感染予防は当たり前のこととして、その人が不要でもない、不急でもないと意思決定したら、その意思は尊重されなければならない。その意思決定を非難するような同調圧力をかけてはならない。同調圧力によって、その意思決定をちゅうちょするような社会であってはならない」と訴えた。