「準備と道具」大切に
39歳以下の建設業界で優秀な技能者に贈られる今年度の「青年優秀施工者不動産・建設経済局長顕彰」を受賞した。2015年度の制度創設以来、県内で16人、大工は2人目。「全国青年技能競技大会」で2回の銀賞を受賞したことなどが認められた。
小中高校時代はサッカーに熱中。京都職業能力開発短期大学校(舞鶴市)卒業後は実家の工務店で働いた。数年後、丹波篠山市内の先輩大工の勧めで青年技能競技大会に出場。25歳で県大会に出られるまで技術を高めた。そこで同年代の職人たちに刺激され、「自分のさんこな性格をきっちりした性格に変えなあかん」と一念発起。しかし入賞が期待された年の県大会で、ホゾの位置を間違える致命的なミスをおかした。「自分を信用しなくなった。それからむちゃくちゃ練習するようになった」。翌年の県大会で金賞を獲得。しかし、「全国ではレベルが違い過ぎた。さらに緊張感をもって練習した」。
翌年、全国大会で銀賞を取ったが、「金賞の人の技術は違う。技術はすぐに身につかない。積み重ねが大事。すごい人に出会うと、目標が高くなり、その人の感覚を身につけたいと思うようになった」。
高校時代、サッカーの練習前には必ずスパイクを丁寧に磨いた。「道具を手入れするのが好き」。大工になってからも道具へのこだわりと探求心を持ち続ける。積み重ねの中で少しずつ寺社の仕事も増えた。2013―16年には中山寺(宝塚市)五重塔再建工事に関わった。今は、常寂光寺(京都市)のお堂躯体の加工にも従事する。
目標は「熟練技能者も出場する技能グランプリで日本一になること」。37歳。