篠山層群の価値伝えたい
丹波竜化石工房ちーたんの館(丹波市山南町谷川)で2月末まで開催されている冬期特別展「ちいさな肉食恐竜の神秘」を企画した。同館で教育普及専門員として勤務し、兵庫県立大学客員研究員という肩書も持つ古生物学者でもある。中でも恐竜時代に生きた鳥類が専門分野。同特別展では、それらの知識を生かし、「恐竜は絶滅したのではなく、獣脚類の一部のグループが鳥類へと進化し、今なお繁栄を続けている」ことなどを約30点の化石を通して解説している。
大学進学を考える頃、生きものの進化に興味を持っていたことから、「進化の道筋を解き明かすことができるDNA解析を勉強したい」と、有機化学が学べる大学を目指したが、失敗。浪人の末、合格した信州大学で地質学の道に進んだ。4年間、岩石や地層の勉強をする中で、化石や生きものの進化への興味は高まり、北海道大学大学院へ進み、古生物学を学び始めた。鳥類化石の専門家が少ないこともあって研究テーマを「中生代の鳥」に設定。9000万年前の海鳥の化石を発掘調査するべくカナダへ飛び、長い時には半年間滞在して研究に没頭した。海鳥化石は日本国内でも見つかっており、淡路島産化石の研究をまとめて昨年5月に論文発表した。
「篠山層群は日本を代表する恐竜化石の産地。卵化石に限って言えば日本一、世界でもトップクラスといえる。それなのに、まだまだ地域の認知度は低い。特に子どもたちには関心を持ってほしいので、学校への出張授業などに力を入れたい」と語り、「カナダでの海鳥化石の発掘にも再度携わり、研究を深めたい」。34歳。