売れる木はこれだ! 山の木材価値を可視化 スマホアプリを開発

2021.02.06
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森林に関するデータを取得できるアプリ「mapry」を開発した山口代表。画像は立木の直径を示している=2021年2月1日午後2時14分、兵庫県丹波市春日町多田で

森林に関する情報を手軽に取得し、資源の把握や防災に役立ててもらおうと、アプリ開発など情報処理業「マプリィ」(兵庫県丹波市春日町多田、山口圭司代表)が、立木の直径や山の起伏などが即座に分かる新アプリ「mapry」を開発した。スマートフォンなどで利用でき、動画を撮る要領で山の中を歩きながら撮影する手軽さで、各種データを得ることができる。データ解析によって降雨時の水の流れを知ることもできるため、山林出水による危険個所を調べる手立てにもなる。「データを取ることで、山の価値を上げることにつながれば」と話している。

雨水の流れシミュレーション 防災・減災にも役立つ

大雨時の水の流れをシミュレーションできる

アプリを起動させてカメラで撮影し、立体的な3次元データに変換させる。5メートルほど先までの立木の情報を得ることができ、材積(木の体積)の目安となる人の胸の高さの直径が1、2秒で測定できる。取得したデータは、アプリに組み込まれている航空地図に落とし込まれ、測定した場所や木の大きさ、本数が反映される。

製材できそうな木が、どの場所に何本あるのかという情報を可視化することで、“山の価値”を知ることにつながるという。

木の情報取得とともに、地形データも計測できる。木の位置関係や傾斜角度を割り出し、降雨量ごとに水の流れがシミュレーションできるため、地域の危険な個所を知り、防災・減災の先手を打つことにも役立てられる。自治会などで利用してもらうことを想定している。

山口代表(39)によると、これまで森林情報を3次元化するには、高額なスキャナが必要だったり、解析に手間がかかったりするなど高い障壁があったという。同社は、車の自動運転にも搭載されている距離や位置、形状を計測する技術をアプリに組み込むことで、これらの課題をクリアした。

有機農産物の生産、加工、販売を行い、カフェレストランを運営する「PUBLIC KITCHEN」の代表を務める山口代表。農業に取り組む中で、温暖化など環境の変化に危機感を抱いていたという。森林に関する自然災害も増加が予想される中、森林大国の課題解決の一端を担いたいとアプリ開発に着手した。

現状では、2020年製以降のiPhoneやiPadに対応。兵庫や京都、島根などの8団体が導入している。

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