かつて名所として知られた兵庫県丹波篠山市にある篠山城跡南堀のハスの復活を目指し、消失要因と考えられた外来カメ、ミシシッピアカミミガメを駆除している「農都ささやま外来生物対策協議会」の取り組みが、「日本自然保護大賞2021」で入選した。活動が功を奏し、2019年には固有種のハス「篠山城蓮」が約15年ぶりに復活。その後も群落が再生、拡大を続けている。
同大賞は、公益財団法人・日本自然保護協会が、自然保護と生物多様性の保全に大きく貢献した取り組みを表彰するもの。7回目の今回は、全国から129件の応募があり、大賞3件、特別賞3件、入選20件が選ばれた。
南堀のハスの群落は、2005年ごろに突如、消滅。復活を望む小学生たちの声を受けて市、市民、事業者、神戸大学の産官学民連携で対策協議会を組織。2014年からカメの駆除を始めた。
カメ捕獲専用網と日光浴罠で駆除に取り組み、これまでで累計1371匹を駆除。「根絶」が視野に入っており、今後も駆除に取り組んでいく。
開花している篠山城蓮は、かつて咲いていた固有種を栽培していた「京都花蓮研究会」から市がレンコンを譲り受け、地元の小学生らと植えたもの。月1回程度、ドローン空撮で調査を続けており、昨年は南堀の19・8%(約2500平方メートル)にまで拡大。今年中に約60%、来年には全面に広がると予測している。
昭和30年代の写真では堀一面を覆っていたため、往時の姿があと少しでよみがえることになる。市は、「景観写真コンクールやデカンショ節大賞の題材にもハスが登場するようになり、市民のみなさんからも関心の高い事業。対外的に評価を得られてよかった」と話していた。