丹波の恵み・地・人で地ビール 酒販業者が開発 まずは宅飲み用から

2021.05.31
地域

酒粕を使った濁りクラフトビール「HAZY IPA」を手にするひかみやの矢持さん(右)と、丹波路ブルワリーの井筒さん=2021年5月28日午前9時57分、兵庫県丹波篠山市北で

コロナにやられっ放しではいられない―。緊急事態宣言で、飲食店で酒類提供の自粛が求められ、納入が困難になる中、酒販業「ひかみや」(兵庫県丹波市柏原町母坪、谷垣裕二郎代表)が6月15日、副原料に酒粕を使ったクラフトビールを新発売する。アメリカで流行中の「HAZY」(濁り)で、ホップの香りと、まろやかな酒粕の味わいを感じる商品。「宅飲み用」の瓶売りから始める。

同社の2020年度の飲食店向けの売り上げは、対前年度比で95%減。「創業以来、最大の危機」(谷垣代表)を、店頭販売に力を入れ、しのいでいる。

ワクチン接種が進んでも客足はすぐに戻らず、売り上げ回復には数年かかると腹をくくり、かねて考えていた「自分たちのお酒を自分たちでつくる」に挑戦した。丹波の恵み、地、人で、地ビールを造る「丹波麦酒プロジェクト」と名付けた。取引先の「丹波路ブルワリー」(兵庫県丹波篠山市北、井筒一摩代表)で製造する。

「丹波の人」との協働もテーマで、ひかみや社員でプロジェクト責任者の矢持光晴さん(41)の友人の岸名祐樹さん(38)が代表を務める釣り具メーカー、MAGBITE(兵庫県丹波市山南町梶)とコラボ。岸名さんがラベルをデザインした。釣りから魚料理、和食を連想、地酒「奥丹波」純米酒の酒粕を副原料に使った。

400リットルの仕込みタンクに、蒸して日本酒酵母の働きを止めた酒粕20キロを投入した。井筒さん(35)によると、酒粕を使った商品は、「ポツポツある程度で少ない」。ホップも通常仕込みの3倍を投入した。既存の丹波路ブルワリーとは一味違う商品に仕上げた。

瓶売りを先行させ、緊急事態宣言が解除されれば、飲食店向けに樽生(5リットル、10リットル、15リットル)を売り込むほか、イベントでの販売も考えている。

矢持さんは「トロピカルな感じ。これからの季節にぴったり」と出来栄えに満足。「第2弾、第3弾と続けられるようにしっかり売り先を見つけていきたい。父の日のプレゼントにどうぞ」と話している。

「丹波SAKEKASU HAZY IPA」(アルコール5・5%、330ミリリットル、税込み740円)。酒税法上の分類は発泡酒。リカーランドひかみや(0795・73・0968)。

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