大人の発達障害も支援 ”遊び”通して脳刺激 「ストレス発散で気持ち楽に」

2021.06.02
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運動療法を用い、大人のサポートも本格化させている桐村さん(左)らスタッフ=兵庫県丹波篠山市杉で

兵庫県丹波篠山市、丹波市で運動を通して子どもたちの発達を支援する事業所「児童支援センターえがお」を展開している一般社団法人「SSKT」が、18歳以上で発達障害があったり、社会の中で「生きづらさ」を感じたりしている人への支援を本格化させている。カウンセリングを行って状況を把握し、運動や整体などでストレスを発散させるなどして改善をサポート。同法人は、「大人への支援体制は全国的にも整っていない。体と脳はつながっているので、論理的なことを含めた“遊び”を行うなど、その人に合った支援を行い、少しでも楽に生きやすくなってもらえれば。まずは気軽に相談して」と呼びかけている。

法人スタッフで、一般社団法人「ここ・からだ」から認定された「発達支援コーチ」らが、体を使うトレーニング「コオーディネーション」や、ボールなどの物を使う「バルシューレ」など、ドイツ生まれの運動療法を実施。一見すれば遊んでいるように見えるものの、理論に裏打ちされた内容で、基礎的な運動能力を向上させることで脳を刺激し、健全な発達のサポートが期待できるという。

同法人はこれまで、児童発達支援や放課後等デイサービス事業を、両市内で展開。需要は多く、最大で約30人の待機が出たことから、4月からは3カ所目となる新センターを開設した。

子どもたちの支援と並行して取り組んできたのが大人への支援。「他人とのコミュニケーションが難しい」「急に攻撃的になってしまう」「不安な気持ちになりやすい」「緊張しやすく、体が硬くなる」などの悩みを抱えた大人の相談に乗り、子どもたちと同様、運動などを通した支援を行ってきた。

カウンセリングを行い、ボールを思いっきり投げたり、チャンバラごっこをしたりして、童心に帰って遊ぶことでストレスが発散され、気持ちが楽になるケースも多いという。

代表の桐村裕一さん(50)によると、発達障害のある人への支援について法整備されたのは最近のことで、子どもの間に適切な支援を受けられなかったり、発達障害という診断なしに大人になったりした人は多く、悩みを抱えている人は驚くほど多いという。

「インターネットで自分の症状を調べて発達障害の可能性を知ると、『もう自分は終わりだ』と思ってしまう。ネット上には間違った情報が多く、改善できる可能性は大いにあることを知ってほしい」とし、「普通の人でも嫌なことがあると気持ちがネガティブになる。ストレスを自分でコントロールできていればいいわけで、発散する方法さえ見つけられれば、良い方向に向かうことができる」と話す。

桐村さんは尼崎市社会福祉事業団に勤務し、同市立身体障害者福祉センターでは、主任体育指導員として活動。ドイツ・ライプチヒ大学で運動療法などを学び、公認資格を取得した。学んだ知識とノウハウを生かすために事業団を退職した後、2016年に法人を設立。大人への対応は桐村さんが1人で行ってきたが、スタッフが育ち、体制が整ってきたことから支援を本格化した。

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