空き家を代執行で除却へ 住民や通行人に危険及ぶ可能性 所有者の所在わからず

2021.06.04
地域

危険空き家の前で、略式代執行を宣言する市職員=2021年5月31日午前10時5分、兵庫県丹波市春日町古河で

兵庫県丹波市はこのほど、所有者の所在が分からず、倒壊の恐れがある市内の危険空き家の除却作業を、略式代執行により始めた。市建設部の里充部長が代執行を宣言、7月末までに更地にする。除却にかかる費用は527万8900円。略式代執行による空き家の除却は、市内4例目。

1961年(昭和36)以前に建てられた空き家で、母屋と倉庫棟、付属の建物の計3棟からなり、いずれも木造瓦葺き2階建て。延べ床面積は計255・6平方メートル。老朽化が著しく、屋根部分など一部が崩壊しており、瓦が落下していた。

市道に面しているほか、近隣住民所有の建物にも隣接しており、住民や通行人に危険が及ぶ可能性が高かった。

2014年、地元自治会が、生活環境を阻害する恐れのある空き家があると市に通報。市は空き家所有者の所在を調べたが確認できず、昨年7月に倒壊の恐れがある「特定空家」に認定した。

建物は、基礎を含めて解体・撤去し、敷地内の樹木を伐採する。空き家と土地の所有者は同一で、土地は07年に市が差押登記を行っており、今後、公売などによる処分を検討する。空き家所有者の所在が確認できれば、除却費用を回収する。

自治会長の男性(71)は、「大規模に崩落した個所もあり危険で、景観的にも悪かった。略式代執行により住民の安心につながる」と話していた。

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