農福連携でジャム開発 障がい者の収入増に シェフパティシエが伝授

2021.09.22
地域

開発中のミルクジャム(左)とイチゴジャム

兵庫県丹波篠山市にある障害者支援施設「丹南精明園」が、就労継続支援B型事業所「丹ファーム」(同県丹波市)が栽培したイチゴなどを使ったジャムの開発を進めている。県の事業を活用し、ミルクジャムの第一人者とされる神戸市のシェフパティシエの力を借りて、競争力があり、利用者の収入増が期待できる商品作りを目指している。10月1日からネット販売を始める予定。4年後の移転を目指している旧柏原病院跡地(丹波市)で展開する「農福連携」の先行事業として取り組んでいる。

丹ファームは2年ほど前からイチゴを栽培。生食用は近くのスイーツ店や道の駅に卸し、熟し過ぎたり、傷があったりする加工用は冷凍保存し、ジャムにして法人内や、黒豆の館(丹波篠山市)で販売していた。

丹南精明園は病院跡地で栽培するブルーベリーの鉢栽培を開始。丹波栗や丹波大納言小豆など豊富な特産を生かして利用者の工賃アップにつなげようと、県の「障害者工賃向上支援アドバイザー派遣事業」に応募した。

洋菓子店のオーナーシェフ、田中さんから指導を受けるスタッフら=兵庫県丹波篠山市中野で

今春から洋菓子店「パティスリーアキト」(神戸市・元町)のオーナーシェフ、田中哲人さんにジャム作りを、関西のスイーツ関連の企画・情報発信を手掛けている「CUADRO」社(神戸市)の三坂美代子代表からブランディング(ブランドを形作るための活動)やパッケージ作りを教わっている。

このほど、最終の打ち合わせがあり、職員が作るジャムの味を田中さんが最終確認。また、三坂さんが複数提案した中から職員が選んだ容器に張るシールや、商品を入れる古い海図をデザインしたミニバッグが披露された。

10月から販売する商品は、イチゴジャムと、「ひかみ牛乳」を使ったミルクジャム、神戸市西区産のイチジクを使ったジャムの3種類を予定。イチゴジャムは甘さ控えめで、果肉を残し、フレッシュ感のあるのが特長。ミルクジャムは、「牛乳の産地と一度に炊く量が違うだけで、パティスリーアキトと同じレシピ」(田中さん)と言い、同店の3分の2の値段で販売する予定。

いずれも商品名は「TAMBA MAGOKORO JAM」。県内の授産商品を集めた兵庫セルプセンターのネットショップ「+NUKUMORI(ぬくもり)」、黒豆の館などで販売する。

「毎日、家でもジャム作りを復習している」というスタッフの山田さとみさんは、「教えていただいたおかげで、作りやすいと感じるまでになった。いろんな方に食べていただけるよう頑張りたい」と話していた。

同施設を運営する県社会福祉事業団(神戸市西区)の関孝和・常務理事は「地域の方々や団体、行政などと力を合わせた交流拠点として展開し、丹波地域の活性化につなげたい」と話していた。

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