放置柿をロールケーキに 獣がい対策に活用 考案の高校生「おいしいもの余らせず」

2021.11.05
地域

レシピをもとに試作を重ね、「パティスリーエムズパッション」で商品化されたケーキ

兵庫県丹波篠山市にある県立篠山東雲高校3年の長澤碧唯さんが、市内で収穫した放置柿と特産の丹波茶を使ったロールケーキ「かき茶ロール」のレシピを考案。そのレシピをもとにしたケーキが、同市杉の洋菓子店「パティスリーエムズパッション」で、8日前後までの期間限定で販売されている。1個600円。昨年から獣害対策を通した地域活性化を考える「獣がい対策実践塾」に参加し、サルなどの野生動物を誘引する原因となっている放置柿の有効活用について思案してきた長澤さん。放置柿で作ったジャムを生クリームの中に入れるなどした。「柿の使い方の一つの例として知ってもらえれば」と話している。

 

ロールケーキに入れる柿ジャムには、実践塾で収穫した柿を使用。種を取って細かく刻み、砂糖を入れて煮詰める。柿の甘さが損なわれないよう、砂糖の量を調節した。「食パンに塗るのもおいしい」とほほ笑む。

柿本来のうまみを引き出すため、生地には、程よく苦みのある丹波茶を使用。生地を焼く前に竹串で線を引いて緑と白のストライプ模様を入れ、葉付きの柿を表現するなど、見た目にもこだわった。

放置柿を使って作った「かき茶ロール」と、レシピを考案した長澤さん=兵庫県丹波篠山市福住で

長澤さんは、実践塾のポスターを見て「楽しそうだな」と昨秋、初めて参加した。高校生や大学生、住民らと共に放置柿の活用についてアイデアを出し合ったり、サル用電気柵の設置などを体験したりして、住民を悩ませる獣害対策を考えてきた。

学校では食品加工などを学ぶ「フードインスティテュート類型」を選択。実践塾で柿の活用を考えていたこともあり、3年生が取り組む課題研究のテーマとして、放置柿でロールケーキを作るアイデアがひらめいた。

「柿はみんなが知っている果物だけれど、おいしさはまだまだ知られていないように思う。こんなにおいしいものが余っているなんてもったいない。『獣がい』について考えてもらうきっかけにもなれば」と話している。

長澤さんは、高校生を対象にした、特産品を生かしたスイーツのレシピを競う「高校生グルメチャレンジ」(市商工会青年部主催)に応募。市内外から寄せられた21のレシピの中から商品化される5つのレシピの中の1つに選ばれた。

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