兵庫県丹波篠山市はこのほど、今年10月の1カ月間に城下町地区を訪れた観光客数が過去最多の約60万人だったとする推計値を発表した。昨年同月は約58万人で、さらに客足が伸びた。例年、黒枝豆をはじめ、栗やマツタケなどの秋の味覚を求める人々でにぎわいを見せる10月だが、コロナ禍の中にあって再び過去最多を更新した。
調査は丹波篠山観光協会が昨年と同じ手法で実施。毎週土、日曜日と火曜または水曜日の午前9時―午後4時までの間、北新町の大正ロマン館前で1分間に視界に何人が入ったかをカウントし、60倍して1時間当たりの人数を割り出した。
調査していない曜日は平日の人数を当てはめて観光客数を割り出した結果、60万2220人となった。
最も人出があったのは、16日で4万1460人。基本的に土・日曜が多いものの、平日も連日1万人を超えた。今年の特徴として、早い時間帯の人出が昨年よりも多い傾向がみられたほか、大型バスよりも自家用車が多かったという。
市観光交流課や観光協会は、昨年の増加理由に挙げたGoToトラベルが今年は実施されておらず、また、味まつりなどのイベントを今年も中止したにもかかわらず、観光客が増加した要因について、▽丹波篠山の味覚やレジャーが頻繁に報道された▽コロナ禍の中で、居住地の近隣に観光に行く「マイクロツーリズム」が浸透した―などと推測した。
昨年の急激な増加を受け、市は舞鶴若狭道丹南篠山口インターからの渋滞を回避するため、う回路を示した案内看板を設置したほか、城下町地区内に延べ199人の警備員を配置。商店街が歩行者天国ではないことを呼び掛ける注意喚起なども行った。それでも一部では渋滞が発生し、危険な道路横断なども見られた。
同課と観光協会は、「『去年来てみて、よかった』というリピーターのほかに、初めて来た人も多く、新規開拓ができている」とし、「丹波焼の里・今田地区で陶器まつりが開かれていたこともあり、城下町以外にも少しずつ分散できた。今年の検証をし、来年に向けて対策を考えていきたい」と話している。