兵庫県丹波市内の若手イチゴ生産者らが、市産イチゴ栽培を盛り立て、栽培技術を高めようと、「TEAM TAMBA ICHIGO―ICHIE(いちごいちえ)」(高見敦洋会長)を結成し、「夢丹(むーたん)いちご」のブランド名で展開している。次世代につながる農業の仕組みづくりを目的にしており、生産者だけでなく、販売流通のプロがメンバーにいるのが特長。先に販路を用意することで、ハウス栽培など初期投資が必要なイチゴ栽培に挑戦する若者が現れ、丹波市がイチゴ産地に育ち、栽培が続いていくことを目指す。
「Happiness Labo(ハピネスラボ)」(同市氷上町本郷)、木下農園(同市柏原町南多田)、寿農園(同市青垣町大名草)、アグリサポートたんば(同市氷上町桟敷)の4農家と、栽培アドバイザーの廣瀬康行さん(42)=同市氷上町本郷=、顧問で、販売流通担当の丹波ろじべじの清水紀光(かずひこ)さん(42)=丹波篠山市東吹=がメンバー。栽培面積は約60アール。全員が20―40代。木下農園以外は、開園から2年程度の新規参入組。
廣瀬さんと高見会長(36)は、60年ほど栽培の歴史がある丹波市のイチゴどころ、同市氷上町本郷の住人。生産者の高齢化などで「本郷イチゴ」の栽培が下火になりつつある中、丹波市全体を産地にし、伝統のイチゴ栽培を発展させようと考え、栽培研修会で仲良くなった生産者に声を掛けた。
栽培技術の底上げや、イベント出店を通じ、市産イチゴの知名度を高めるほか、栽培中に生じる「谷間」を補い合うことで、取引先への安定供給体制を整える。
市クリーンセンター(同市春日町野上野)内にあり、焼却熱で発電した電力が供給される冷暖房付き温室を今年、関西国際大学(兵庫県三木市)と共同で野上野自治会から借りた。冷房を利用し、夏の暑さのせいで市内では栽培が困難な、通年収穫できる品種を栽培。収穫したイチゴの商品化を同大学の学生が考える。同自治会まちづくり協議会も同事業を応援している。
廣瀬さんは、「新しく始めたい人が、始めやすい環境を整える。既存顧客とは別に、グループの新たな販路を開拓する」と言い、清水さんは「ホテルや洋菓子店に売っていく。3、4日かけ、県内の産地から市場経由で届くイチゴと、丹波市産イチゴは、品質が格段に違う。非常に有望な商材」と太鼓判を押す。
高見会長は、「丹波市のイチゴをどんどん発信していきたい。地元需要にもしっかり応えていきたい」と意気込んでいる。