支援のあったか弁当 コロナで自宅待機の人へ 市の補助活用し無償で 

2022.02.24
地域

感染者や濃厚接触者のための弁当を作り続けている大地さん=兵庫県丹波篠山市二階町で

兵庫県丹波篠山市二階町の「ツバメ食堂」が、新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者に指定されたりして、自宅で待機せざるを得ない親子の支援にと、市の補助金を活用し、無償の弁当配布に取り組んでいる。1月24日からスタートし、すでに100食以上を届けた。店の近くまで来てもらって車の窓越しに手渡すか、自宅を出られない人には、支援者が自宅玄関前に配達する。同店の大地友代さん(43)は、「小さな子がいると、食材も買いに行きづらいし、本当に大変。市内にはデリバリー(配達)も少ない。せめてお弁当を食べて、気持ちを明るくしてもらえたら」と、利用を呼び掛けている。

「ささっこ親子弁当プロジェクト」と銘打った取り組みで、毎週月、火、水曜日の昼に提供。濃厚接触者などで体調が悪くなくて、車を運転できる人には店の近くまで取りに来てもらい、車に届ける。陽性者など自宅から出られない人は大地さんの支援者が自宅まで届け、感染リスクを避けるため玄関前などに置いておく。

対象は市内在住の未成年の子どもがいる家庭で、新型コロナに感染したか、濃厚接触者に指定された人。希望者は事前に連絡する。市の「子どもの食の応援事業補助金」を活用している。

きっかけは、子育て中の大地さん自身がこれまで何度も濃厚接触者に指定されたこと。幸い感染はなかったものの、自宅に待機している間、幼い子どもを連れての買い物は難しく、市内にはドライブスルーや配達ができる飲食店も少ないことから食事に苦労した。

大地さんは、「食べることだけでなく、自営業やパートの人なら休んでいる間の収入もなくなる。子育て世代にとって大変なこと」と言い、「感染した場合、支援物資が届けられるけれど、レトルトが多いそう。子どもが感染したら、子どもを置いて買い物には行けない。それでも生活はしないといけない。困っている人は多いと思う」と話す。

感染者や濃厚接触者は当然、「知られたくない」という気持ちになるため、誰が困っているのか分からないという壁があったものの、提供を続けていくうちに少しずつ依頼が増え、多い日で一日に30食提供したこともあった。

受け取った人からは、「ずっと家の中にいて気分が沈んでいたけれど、お弁当で楽しませてもらった」など感謝の言葉があったという。

「家から出られないことは親も子も大変なストレス。また、外とのつながりもなくなり、閉じこもるしかない。たとえ1食であっても力になれたら」と大地さん。「いつ誰が感染するか分からないのでお互い様。とにかく頑張ってお弁当を作り続けます」と話している。

まん延防止等重点措置が解除されるまで続ける。弁当の中身は指定できない。また、依頼が多い日や感染状況によって対応できないこともある。

希望者は、同店のフェイスブックなどから連絡を。

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