丹波・丹後・但馬の「三丹」随一といわれる厄除大祭が行われた、兵庫県丹波市の柏原八幡宮でこのほど、大祭を締めくくる神事「焼納式」が営まれた。日付が変わる深夜午前零時に執り行った神事「青山祭壇の儀」で迎えた福を与える神、災いをもたらす厄神など八百万の神にお帰りいただく神事で、大祭期間中に納められた破魔矢や守り札などを忌火でたき上げ、厄除開運、無病息災などを祈った。
しんしんと雪が降る午後7時、境内を照らしていた照明が全て消され、焼納式が始まった。
千種正裕宮司(73)と千種太陽禰宜(38)が本殿で祝詞を詠唱。氏子をはじめとする20人ほどの参拝者は、雪の中、こうべを垂れ、身じろぎもせず静かに見守った。
続いて祈りの舞台は、結界が張られ、その中央に護摩壇が置かれた本殿前の境内へ。破魔矢や守り札などで組んだ高さ1・5メートルほどの護摩壇に千種宮司が点火。火柱を上げて勢いよく燃え始めると、祝詞をあげ、日々の参拝者が願い事を書いた「火焚串」と呼ぶ木札を炎の中に投げ入れた。最後に、参拝者一人ひとりが玉串をささげ、今年一年の幸せを祈った。
神事を終えた千種宮司は、「四十数年、この神事を行ってきたが、雪が降ったのは初めて」と驚き、「神さんには煙と共にお帰りいただいた。コロナ退散を強く願い、全ての皆さんの健康をお祈りしました」と話していた。