聖徳太子が作ったとされる「十七条憲法」の「和の精神」を国内外に発信している任意団体「和プロジェクトTAISHI」(事務局=名古屋市、宮本辰彦代表)が3日、全国38カ寺で「平和揮毫」の行事を行った。同憲法制定日とされる同日、賛同した寺院それぞれに書家がスタンバイし、同憲法第1条で、日本の平和思想を示した「以和為貴(和を以て貴しと為す)」の文字をしたため、世界平和をアピールする取り組みで、今年で5年目。法隆寺、四天王寺、浅草寺、高野山、比叡山などが参加したほか、兵庫県内では丹波市山南町岩屋の石龕寺(堀井隆洋住職)、中山寺(宝塚市)、斑鳩寺(揖保郡)で行われた。
587年、聖徳太子が開いたとされる石龕寺では、昨年に続き、姫路市の書家、大西真來さん(54)が臨んだ。
本堂へと続く石段下の石畳の広場に檀家ら約20人が参集。大西さんは約1・4㍍四方の和紙に向き合い、躍動的に筆を走らせた。さらに、さまざまな人種や障がい者ら大勢が“平和の木”の下に笑顔で集うイラストを描いた縦約1・4㍍、横約2㍍の和紙に、自然の移ろいを表現した「禅語」を、一文字一文字気持ちを込めてしたためた。その際、大西さんの友人で、夫婦で「風屋」のユニット名で音楽活動などを行っている中平聡さん(56)、島田花酒さん(同)=尼崎市=が、BGMのように童謡唱歌や歌謡曲をギターの伴奏で歌い、会場の雰囲気を盛り上げた。
2種類の書を書き終えた大西さんは、「ウクライナに平和が訪れることを心の底から祈った。どんな所にも癖のある人がいて、自分と合わない人がいる。それが生きている証拠だとも思う。自分の思いを伝える、そして伝えてもらった人はその思いを分かろうとする。人と人が仲良くする。それが一番大事なこと」と話した。堀井住職(54)は、「この国に生まれて良かったと、どの国の人も、特に子どもたちがそう思える世の中にしていかなくては」と願っていた。