「五榜の掲示」4枚見つかる 他にも6枚の高札 「歴史実感できる史料」

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兵庫県丹波市山南町岡本で見つかった4枚の「五榜の掲示」。第1札(左上)、第2札(右上)、第3札(左下)、第5札(右下)=提供:丹波市教育委員会

兵庫県丹波市山南町岡本の祇園神社境内の建物(長床)で、1868年(慶応4)3月に明治新政府が全国に出した5枚の高札「五榜の掲示」3枚を含む高札4枚が新たに見つかった。五榜の掲示は、以前に見つかっている1枚を含めて計4枚になり、岡本自治会が所有する高札は計10枚になった。丹波市教育委員会によると、これだけまとまって高札が保管されている例は珍しく、五榜の掲示の現物も市内で他には確認されていないという。

岡本自治会が保管している10枚の高札

五榜の掲示は▽第1札=五倫の道の勧め▽第2札=徒党・強訴・逃散の禁止▽第3札=キリスト教の禁止▽第4札=外国人への加害の禁止▽第5札=士民の本国脱走の禁止―の5枚。このうち第1、2、3札が新たに見つかった。

今回は、4月の10日と17日、長床の整理をしていた住民らが、備品庫の中と鴨居の上で見つけた。「大変なものをまた見つけてしまったと思った」と、現場にいた田畑康彦さん(69)。

同地区では、祇園神社の神輿蔵を取り壊した時に五榜の掲示の第5札を含めた高札6枚が見つかっており、個人宅で保管されていたが、2年前からは自治会で管理している。最も古いものは1682年(天和2)の年号が書かれた徒党令で、このほか1868年に官軍から出された徳川慶喜追討のお触れ書きなどがある。歴史が好きな同地区の中島寛さん(63)は、「高札は中央の政策が地方にも行き渡っていたことがつぶさに分かる貴重な史料」と価値を伝える。

高札が掲げられていた場所が分かる江戸時代の古地図

また、高札が掲げられていた「高札場」の場所が記された江戸時代の地図もあり、高札と掲示場所が共に分かる状況にある。

神戸大大学院人文研究科地域連携センターが、岡本自治会、同市教委と共に、同地区の6枚の高札を調査。今年3月に冊子「岡本の高札―地域に残る歴史遺産」にまとめた。調査の過程で、歴史講座が開かれるなどしたことで、住民の認識が深まり、今回の発見につながったという。

自治会は、6枚の高札用に桐箱を新調して大切に保管してきた。野村隆自治会長(65)は「歴史の1ページを実感できる史料。新しく見つかった4枚の保管についてはこれから検討したい」と話している。

神戸大大学院人文学研究科特命助教の井上舞さんは「これだけよくまとまって残してもらっていたものだと思う。絵図もあるので、江戸時代の風景が垣間見える。岡本の皆さんの活動を通じて、史料が次の世代に引き継がれていけば」と話す。

また、同市教委文化財課主任学芸員の徳原由紀子さんは、「他の地区でも高札を持っているところがあれば教えてほしい。せっかくまとまって見つかったので、いろんな人に見てもらう機会を作りたい」と話していた。

高札(こうさつ) 幕府や藩が定めた法令や禁令などを板に書きつけて、人通りの多い所に掲示した立て札。江戸時代に最も盛んに用いられた。明治時代になってもしばらく利用されたが、1873年(明治6)に廃止された。

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