地域医療を支える教育
さん 「藪医者」の語源が「養父の名医」であることにちなみ、養父市が全国のへき地医療に関わる若手医療者を顕彰する今年度の「やぶ医者大賞」に選ばれた。過去8回、へき地の公的病院、診療所で働く現場の医師に贈られてきた。地域医療に携わる医師を育てる「教育の功績」が認められ、異色の受賞となった。
自治医科大学卒。県内のへき地などで勤務する医師を確保するため、県が医学生に修学資金を貸与し、卒後一定期間県が指定する医師不足地域の医療機関で勤務する「県養成医師」OB。
当時、学年で2、3人だった養成医師が現在は20人。丹波医療センターを拠点に、養成医師や研修医教育が任務。31歳で医学教育の道へ。医学以外の教育、人材育成の本を読み、他業界の知恵も取り入れ、医学教育を先に進めようと挑戦を続ける。
柏原病院時代、医学生を、全国で初めて住民宅でホームステイさせる地域医療実習を企画。住民との濃密な触れ合いは、統計的有意差をもって、地域に医師を呼び込むことを論文で明らかにした。
自身がプログラム責任者を務める、専門医資格「総合診療専門医」。近畿で最も資格取得を目指す医師が集まる病院が、丹波医療センターだ。
「教育システムをつくり、人を集め、循環させる。地域医療を支える取り組みが評価された。受賞を励みに、病気だけでなく、患者が自宅に戻った先のことまで見据えるような、広い視野で患者と向き合う医師の育成、教育に励みたい」
神戸大学大学院医学研究科特命教授(地域医療支援学部門)、丹波医療センター地域医療教育センター長。47歳。多可町加美区出身。