弥生時代の生活体験 石包丁に火おこしも 児童「毎日のご飯大変」

2022.07.04
地域

弓きり式の火おこし器で火おこしに挑戦する児童ら=2022年6月28日午前9時39分、兵庫県丹波市山南町井原で

兵庫県丹波市の小川小学校5年生(13人)がこのほど、同校で弥生時代の生活の一端を体験した。石包丁で食材を切り、棒と板をこすり合わせて火をおこし、土器でスープを作って舌鼓を打った。

自然学校の一環。講師は県立考古博物館の学芸員、藤田淳さん(61)が務めた。

旧石器時代に刃物として利用された岩石「サヌカイト」製の石包丁で、タマネギやシイタケ、鶏肉などをカットした。児童たちは、「鶏肉はちょっと切りにくいけれど、タマネギとシイタケはサクサク切れる」と目を丸くしていた。

火おこし体験では、藤田さんが「ひきり杵」となる長さ約30センチ、直径約1センチの矢竹と、「ひきり臼」となる厚さ約1センチの杉板を用意。児童は彫刻刀を使って杉板に丸いくぼみとⅤ形の溝を彫って下準備をした。その部分にひきり杵を立て、両手で前後にこすり合わせて回転させ、摩擦熱で発火を試みた。しかし、煙は出るものの、火がおこるまでには至らなかった。

そこで藤田さんが「こんな道具がある」とやや湾曲した長さ約1メートルの木の枝にひもを結わえた弓きり式の火おこし器を紹介。ペアになって弓きりを前後に動かすとすぐに煙が立ち昇り、火種ができると、児童たちは「すげー」と歓声を上げた。

火おこしに悪戦苦闘していた男子児童は、「弥生人は毎日こんなにも大変な思いをしてご飯を作っていたのかなあ。昔に生まれなくてよかった」と笑っていた。

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