園児が自然の中でのびのびと走り、遊べる環境をつくろうと認定こども園あおがき(兵庫県丹波市青垣町沢野)が、旧芦田保育園跡地(同町東芦田)に第2園庭を整備する。実のなる木を植え、泥遊びや火起こし体験などができる広場にする。園児と保護者、職員、運営法人の青垣福祉会の理事らがこのほど、築山の芝生に2800株の苗を植え、整備事業をスタートさせた。園の新たな幼児教育、保育の柱にし、園の魅力として発信していく。
青垣地域3園の統合で2010年度末に廃止され、同法人が所有していた土地約2760平方メートルを活用した。同園からバスで10分ほどの場所。
サクランボ、ウメ、ブルーベリー、レモン、ザクロ、ミカン、イチジク、柚子、ポポーなどの果樹、コナラ、マテバシイなど遊びに使える実のなる木、サクラやキンモクセイ、モミジなど、季節を感じる広葉樹を計170本植える。10年ほどかけて成園にする。
成長、発達に好影響があると、幼児の教育、保育の中で子どもを森に親しませる全国的な動きに呼応した。「森に囲まれている青垣だが、ほとんどが、間伐が遅れた針葉樹林。ヤマビルの問題もあり、山に入るのは難しく、自然に親しめる空間を私たちの手でつくろうと考えた」と、青垣福祉会の足立光藏理事長(70)。
安田千代園長(61)を委員長とする実行委員会(15人)を保護者会などと組織。県の「県民まちなみ緑化事業」の助成を受け、芝生と樹木費用約1200万円を捻出し、トイレ、倉庫、休憩室、東屋などを法人の持ち出しで整備する。管理人を1人採用するほか、これまで園運営に関わってきた人たちを「応援隊」として、可能な範囲で協力を仰ぐ構想。
足立理事長は、「子どものために遊休資産をどう使えるかを考えた。青垣の子どもに一つの財産として受け継がれるものになれば。実を食べられないよう、鳥よけネットを張る日が来るのが楽しみ」と、成長を待ちわびている。将来、一般開放することも視野に入れている。
安田園長は、「水があるので思い切り泥んこになっていいし、火を起こしをして調理することもできる。遊具のある園庭で遊ぶのとは違い、自分で考え、遊びや楽しみをつくり出す場になる。私たち職員も、とても楽しみ」と、張り切っている。
園舎併設の既存園庭は約1600平方メートル。第2園庭は約1・7倍の広さ。
◆保護者に訴求も
同園は現在、0―5歳児148人が在籍(定員は165人)。5歳児は46人が在籍しているが、それより下は20―30人台。出生数からも園児数の減少が見込まれており、自然と親しむ保育、幼児教育を好む保護者にアピールし、園児数減少を緩やかにするのにも役立てる。今秋4、5歳児を対象に、1―3週間の「体験留学」を初めて企画。子育て世代の移住希望者らに入園を考えてもらう機会にする。