丹波竜伝える大学院生
今年4月から、丹波竜化石工房「ちーたんの館」(丹波市山南町谷川)で展示物のレイアウトや解説をしたり、市内の学校に出向き、丹波で見つかった化石などについて分かりやすく伝えている。
神戸市西区出身。愛媛大学大学院2回生で、休学して教育普及専門員を務めている。大学院では、数理物質科学専攻の地球進化学コースで主に古生物を研究しており、首長竜の背骨化石をもとに、他の恐竜との形態の違いなどを調べることに情熱を注いでいる。
小学生の時、恐竜図鑑を見たことで恐竜のとりこになった。周囲に恐竜好きが多かったが、学年が上がるにつれ、友人たちの興味の対象は恐竜以外に変わった。「幼いころは『みんなで古生物学者になるぞ』と誓い合ったんですが」と笑う。
自身の“恐竜熱”が冷めることはなく、古生物学を含む地学を研究する同大学を志望。普通科だった高校時代、独学で学びを深めた。学校では学ばない分野ばかりだが、興味がある分、「勉強は楽しかった」と話す。
昨年、丹波市が教育普及専門員を公募していることを知り、社会勉強にもなればと応募し、採用が決まった。
日本最大級の丹波竜は、「全身の30%の化石が見つかっている。こんなに見つかることは珍しい」と言い、歯以外は見つかっていない幼体の化石が発掘されることで、丹波竜など竜脚類の成長や進化の過程を知る手掛かりになると期待している。
来年、教育普及専門員を務めながら復学する。「修士論文を書かないと」と苦笑い。「ちーたんの館で学芸員になれたら。地元の人の来館が少ないので、より親しみやすい施設にしたい」。24歳。