走って、食べて、体験して―。兵庫県丹波篠山市内を会場に10月8日、1泊2日のマラソンイベント「山賊ワイルドラン&炎の宴in丹波篠山」が開かれる。里山の風景を満喫しながら約22キロのコースを走り、道中で特産の黒枝豆の収穫や間伐などを体験し、ゴール後に楽しむバーベキューの食材も集めつつ、フィニッシュを目指すという新感覚のマラソン。主催者は、「車で走るだけでは分からない丹波篠山の魅力を全身で味わってほしい。また、ランナーが頑張る姿を見て、地元の人にも元気を届けられたら」と話している。
神戸市を拠点に産官学民連携事業を手掛ける「なりわいカンパニー株式会社」(湯川カナ代表)が、市内の里山資源活用に取り組む「ササノワ合同会社」(内田圭介代表)と、神戸学院大学現代社会学部で地域デザインを研究するゼミの学生と共に合同で開催する。
対象は16歳以上で、4人1組でチームをつくる。午前10時にJR篠山口駅をスタートし、西紀北地区にあるキャンプ場「丹波篠山やまもりサーキット」を目指す。新型コロナ感染症対策や混雑緩和のため、15分おきにスタートする。定員は25組100人を想定。道路使用許可は得ており、交通規制はない。
コース中にポイントを設定。JA味土里館などでゴール後に楽しむバーベキュー用の食材を購入。黒豆の館で「ささやまサイダー」を飲み、なちゅらるハーモニーでは黒枝豆の収穫を体験する。
また、八百材舎BASEで間伐作業をして燃料となるまきを、福徳貴寺で山の湧き水をそれぞれ手に入れる。
手に入れた物品は背負ったり、手に持ったりして走る「ワイルド」なマラソン。食材は衛生面を考慮して、購入した量と同程度の重りを代わりに持つというこだわりようだ。
午後3時ごろに順次キャンプ場へ到着。入浴し、テントを設営した後、バーベキューを楽しむ。猟師によるシカ肉の丸焼きも登場する。翌日は記念植樹を行う。
学生らは当日、ランナーの案内や走路誘導員、給水、ゴール後イベントの運営などを担う。
「自分の足で走りながら、丹波篠山の魅力を『狩って』いく」というコンセプトや、炎で照らされた会場でそれぞれが手に入れた食材やジビエを味わうことから、「山賊―」と名付けた。
「ササノワ」の内田さん、「やまもりサーキット」の施設管理責任者・大谷晃平さん、ゼミ講師の菊川裕幸さんが、偶然同じタイミングで丹波篠山の魅力発信と関係人口の創出や学生の地域貢献を目的に、「なりわい―」社に協力を呼び掛けたことがきっかけ。市内に「点」として存在するさまざまな魅力を「面」としてつなぎ、市内外の人が交流する機会を生み出そうと、ホノルルマラソンに出場した経験を持つ同社の加藤伸一さんらがマラソンという形で具現化した。
加藤さんは、「試走してみると、住民の方との交流も楽しむことができ、人の温かさを感じた。丹波篠山の城下町以外の地域の魅力も知ってもらうきっかけになる」とほほ笑み、「四季折々、その季節にしかない風景や魅力を伝えることができるので、年間を通じて複数回開催することもできそう。コースとなる地区の皆さんには、ご理解とご協力を」と呼び掛ける。
当日、ランナーとしても参加するゼミ生の森宥太さん(21)=西宮市=は、「運営側に携わることができるのは、普通の大学生にはない体験。自分自身にとっても良い経験になる」と言い、「丹波篠山を代表するようなイベントとして来年以降も続いていけばうれしい」と笑顔で話している。
先着順。参加費は1万7600円。インターネットサイト「スポーツエントリー」から申し込む。締め切りは25日。