理想高く「技術まだまだ」 読売ジャイアンツの大勢投手  セ新人王も「悔しい」

2023.01.08
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力投する大勢投手。最速159キロの剛速球で並み居る強打者をねじ伏せた=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で(読売巨人軍提供)

兵庫県丹波市の中学硬式野球チーム「氷上ボーイズ」の11期生で、プロ野球・読売ジャイアンツに所属する大勢(本名・翁田大勢)投手(23)。昨シーズンは1年目から守護神として大車輪の活躍を見せ、新人歴代最多タイの37セーブを記録し、セ・リーグの新人王に輝いた。球史に名を刻んだシーズンを終え、丹波新聞の独占取材に応じた。昨シーズンを振り返り、「まだまだ」と高い理想をのぞかせながら、代表入りが期待される野球の世界一決定戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」や、来シーズンに懸ける思いを語った。

―シーズンを振り返って

セーブ数が新人最多記録に並ぶことができて良かった半面、新記録を狙えていたかもしれないという悔しい気持ちもある。

―自己採点すると

70点ぐらい。技術的な部分でまだまだ。甘く入ったボールをホームランにされたり、無駄なフォアボールがあったりした。体力的な疲れも感じた。

―長いシーズンを通して成長できた点は

自分の中で『まだまだ』という気持ちが強いので、成長を感じられることはあまりない。唯一挙げるとすれば、1年間けがをしなかったこと。今まではけがばかりだったので、コンディショニング調整やトレーニングにしっかりと取り組んだ。

―特に何が大変だったか

遠征。移動疲れがあり、1年目で要領もつかめない中、遠征先でウエイトトレーニングの時間を確保するのが難しかった。

氷上ボーイズ時代の大勢投手。当時は上手投げだった(氷上ボーイズ・永井豊代表提供)

―どんな課題が見つかったか。また、今後取り組んでいきたいことは

シーズン序盤は良い感じの投球フォームで投げられていた。けれど、力む場面で投げることが多く、徐々にフォームが崩れてきた。1年を通して良いフォームで投げ続けるためのトレーニングをやっていかないといけない。

―抑えという役割について

責任感を持ってやらないといけない。阪神の湯浅(京己投手)と「来年、セーブ王争いをしたいね」と、みんなの前であえて言うようにしている。

―侍ジャパン、WBCへの思いは

日本代表のユニホームを着て野球をするのは純粋に格好良い。憧れもある。任せてもらえる選手になれるよう、もっともっと成長したい。

―もしWBCの代表メンバーに選出されれば、どんな活躍を見せたいか

勝手な主観だけれど、日本の野球は強い。世界一を取るシーンを何度も見ている。日本は、世界一を取らないといけないという思いはある。どこまで通用するのかワクワクした気持ちもある。もし選んでいただけるのならば、世界一になるための戦力になりたい。

―氷上ボーイズ時代を振り返って。また、大勢投手はどんな野球少年だったか

丹波の子は、本当に元気な子が多いというイメージ(笑)。僕は全然やんちゃではなかったけれど、周りはやんちゃで元気な人が多かった。僕は田舎から来ていたので、雰囲気に慣れるまでに時間がかかった。

野球を『楽しんでやろう』という気持ちが強かった。練習も楽しかった。もちろん、ランニングや振り込みなどはしんどかったし、嫌いだったけれど、好きな野球ができていることに感謝を持ってやっていた。

―大勢投手に憧れる野球少年もいる。伝えたいことは

いろんな情報を簡単に入手しやすい時代。全部を取り入れるのではなく、自分の感覚に合ったものを大切にしてほしい。できないから変えるのではなく、自分の感覚の中で、一つのことができるようになるまでやるのが大事だと思う。

―来シーズンの目標は

1年を戦い切って、今は球団やファンの皆さんから、去年よりレベルの高いものを求められている。その期待に応えられる選手になりたい。

たいせい 身長181センチ、体重88キロ。右投げ右打ち。兵庫県多可郡多可町出身。小学1年の時に野球を始めた。中学時代は丹波市の中学硬式野球チーム「氷上ボーイズ」に所属。3年間、神崎紙器グラウンド(同市氷上町新郷)で白球を追った。西脇工業高、関西国際大を経て、2021年のドラフト会議で巨人から1位指名を受けた。横手投げで繰り出す最速159キロの剛速球が武器。昨シーズンは57試合に登板し、1勝3敗37セーブ、防御率2・05を記録。セーブ数は新人歴代最多タイ記録、セ・リーグ3位タイで、新人王を獲得した。秋には、野球日本代表「侍ジャパン」のメンバーに選出。3月に開催される野球の世界一決定戦「ワールド・ベースボール・クラシック」の出場も期待される。球種はストレート、フォーク、スライダー。背番号は15。

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