凝った外観「誇らしい」 白亜赤瓦の公民館

2023.01.25
たんばの世間遺産地域

やや色あせたものの今もスタイリッシュな公民館=兵庫県丹波市氷上町鴨内で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は兵庫県丹波市氷上町鴨内にある、凝った外観が目を引く公民館です。

「中央の本館、左に別館、右には子供館を添えて白亜赤瓦の新公民館は図書室や映写室などの施設も完備した豪勢なもの」と、1958年(昭和33)の丹波新聞に竣工記事が掲載されている。木が高く売れた時代。建築費は区有林の売却益でまかなった。木造一部2階建て。意匠が凝っており、64年(昭和39)、鴨内が大火に見舞われた際、救助に入った自衛隊に「学校ですか?」と言われたという話が伝わっている。

壁はやや黒ずんでいるものの、赤瓦は健在。トイレと炊事場を新しくしたほかは、往時の姿のまま。2階には映写室の跡も残っている。

そろばん教室、書道教室など、習い事のために建設された「子供館」は、現在は「ふれあい館」と名前を変え、趣味やボランティアサークルなどが使っている。「別館」は8畳2間の和室、組長会を開くのに使っていた。

本館の舞台を利用し、青壮年でつくる「KUクラブ」(鴨内運動クラブ)が、秋祭りの前日に前夜祭イベントを開く。子どもが多かった時代は、学年ごとのコーラス、農会、婦人会などがそれぞれ出し物を披露。メインはKUクラブの素人芝居だった。「笑わせ、笑わせして、最後に泣かすのがウケた」と、長年座長を務めた芦田浩助さん(76)は懐かしがる。

秋祭り当日は、神社での神事の後、公民館でみんなで会食し、その後、子どもみこしと、みこしの巡行をするのが習わし。「前夜祭と、祭り当日と、2日間はみんなベロベロに酔う」と、宮垣洋一自治会長(66)。

公民館の真向かいに住む細見保雄さん(80)は、中学3年の竣工時のことを覚えている。「かっこうが良くて誇らしかった。鴨内は派手な村やったからなあ」と笑った。

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