築100年のゲストハウス 一日1組に「地元ならでは」提供 「暮らすように泊まって」

2023.01.30
地域

「古民家ゲストハウスSatoyama」をオープンする宮野さん一家=兵庫県丹波篠山市園田分で

昨夏、兵庫県の神戸市から丹波篠山市大山地区に移住した宮野菜穂美さん(33)が3月17日、同市園田分にある築100年を超える古民家を活用した一日1組限定の貸し切り宿「古民家ゲストハウスSatoyama」をオープンする。丹波篠山には縁もゆかりもなかったが、コロナ禍を機に、「子どもたちが大好きな自然の中で思いっきり遊べる土地へ」と移り住んだ宮野さん一家。偶然巡り合った古民家を活用した事業を立ち上げ、新天地で新たなスタートを切る。

自然に囲まれたゲストハウスは和室やダイニングキッチン、風呂などのほか、庭にはウッドデッキもある。定員は小学生以上の5人で、1泊3万5000円。

食事は予約で受け付け、地場産の野菜や肉を使い、まきストーブやダッチオーブンを使ったアウトドア料理も提供する。丹波焼の器を使い、黒豆を使った肉ちまき、地ビールも用意するなど、丹波篠山ならではの品々をPRする。

元保育士の菜穂美さんは、移住前から市が開講する起業スクール「篠山イノベーターズスクール」に通い、子どもたちの自然遊びを事業化する計画を温めていたことから、ゲストハウスのアクティビティーとして、農業体験や生き物観察などの自然体験も提供する。

菜穂美さんと夫の健一さん(41)は、コロナ禍以降、仕事がリモートワークになったことから、2人の子どもと共に豊かな自然が残るまちへの移住を計画。健一さんの職場がある大阪まで電車で約1時間ということや、移住を支援する行政の補助メニューが充実していたことから、移住先に丹波篠山を選んだ。

購入した自宅は築約60年。400平方メートルの敷地に母屋と離れ、倉庫がある。水回りや床などはリフォームしたが、神戸の持ち家を売却したお金で十分まかなえた上、市からの助成も活用できた。

里山に囲まれ、清流が流れる。野辺には山野草が萌える。そんな環境の中で子どもたちは日々、自然と戯れる。健一さんは、「地域の皆さんが子どもたちのこともかわいがってくれて、遊び場やカブトムシがいる木など、地元の人でないと知らない情報ももらえる。移住して数カ月で、都会にいた10年分よりもたくさんの友人や知人ができました」と喜ぶ。

東南アジアや中南米など、何度も海外に足を運び、各地のゲストハウスで現地の人や旅行者との交流を楽しんできた旅行好きの夫妻。たまたま自宅の向かいにあり、築100年超ながら、リノベーション済みという日本家屋の所有者と縁ができたことから、菜穂美さんがゲストハウスとして運営することにした。

菜穂美さんは、「自然の中でゆったりした雰囲気を楽しんだり、目いっぱい遊んだり。全身で丹波篠山を味わってもらえる場所になれば」と笑顔。運営に協力する健一さんは、「『暮らすように泊まる』という価値観。静かに暮らしている人たちに観光を押し付けるのではなく、来てくれた人に大山地区を楽しんでもらい、それが結果的に地域や地域経済への貢献につながればうれしい」と笑顔で話している。

予約はホームページ(https://guesthousesatoyama.com)から。受け付けは27日からスタートしており、オープン記念として2月15日までに予約すると宿泊代金を5000円割り引く。

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