片手で開閉ランドセル 障がいある孫に開発 「同じ事情の子にも」

2023.03.25
地域

完成したランドセルを持つ細川さん=2023年3月11日午後2時6分、兵庫県丹波市柏原町柏原で

医療救急防災関連のバッグを製作販売している兵庫県丹波市柏原町の「maru Su Bags(マルスバッグ)」を営む細川晋さん(63)が、発達障害で右手が自由に使えない孫のためにランドセルを開発した。ランドセルのふたの部分をいう「かぶせ」を固定する金具を片手で操作しづらいことから、片手でもかぶせを開け閉めできるよう工夫した。「孫は今春、小学校に入学する。孫と同じような事情の子どもがおられる保護者の相談に乗りたい」と話している。

孫の母親(長女)から開発を依頼された。長女は、インターネットで適当なランドセルを探してみたが、見つからなかった。

全国各地の病院や消防署などで採用されているバッグを作っている細川さんだが、ランドセルは初めて。孫の姉のランドセルを参考に構造を調べることから始めた。

ひも付きのマグホックを使ったランドセル

片手でかぶせを開け閉めできる方法を考えあぐねていた時、バッグの金具を扱っている豊岡市の業者から「医療救急バッグに使えないか」と、ドイツ製のマグホックの情報が届いた。紹介された10種類ほどの中から2種類がランドセルに生かせると直感。試作を重ね、2つのタイプが完成した。

孫は試してみて、ひもの付いたマグホックを使用したタイプを選んだ。指でひもをつまんで引っ張れば、簡単にかぶせが外れ、磁石の力で閉じる。「孫も娘も喜んでくれました。作ったかいがありました」という。ランドセルの素材は軽量ナイロンにするなど、軽量化を図り、重さ900グラムと、1キロを切った。体にかかる負担も軽くなるよう、肩ベルトを湾曲させ、体にフィットするようにした。

もう一つのタイプは、かぶせに凸のマグホック、ランドセル本体に凹のマグホックを付け、かぶせをスライドすると、開くというもの。重さは870グラム。

「孫のために作ったものだが、出来上がってみて、このようなランドセルを必要とする人は孫だけでないと気付いた。困っている人がおられれば、お手伝いさせてもらいたい」と話している。

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