経年劣化により傷みの激しかった、常勝寺(兵庫県丹波市山南町谷川)の薬師如来坐像の修復作業が完了し、このほど京都市内の修理所から返され、元の薬師堂に安置された。同寺の宮崎実康住職(57)は、「ほっとしている。たくさんの方にお世話になったので、33年に1度しか開帳しない秘仏だが、きれいになった姿をお披露目する機会をつくりたい」とし、「薬師如来は心や体の病を治す仏様。癒やしを求めて参拝していただけたら」と話している。
仏像は、鎌倉時代初期の作。高さ75・8センチの寄木造で、国の重要文化財に指定されている。
前回の修復は1922年(大正11)。ちょうど100年がたった昨年4月下旬に、公益財団法人美術院国宝修理所へ送られ、保存修理を受けていた。
脱落していた親指や、亀裂が入っていた左肩、欠損していた螺髪(らほつ=丸まった髪の毛)などを修復したほか、胸や顎などの一部分の金箔を貼り直した。また、経年により降り積もったちりやほこりを除去した。
修復を終え、往時の威厳を取り戻した仏像は、文化庁、同法人、丹波市教育委員会社会教育・文化財課の専門家によって、薬師堂の厨子に納められた。