障がいがあったり、発達に不安があったりする子どもたちの放課後等デイサービス施設「のびのび」(兵庫県丹波市柏原町大新屋)が週1回、書道を通じてさまざまな意欲につなげようと、師範資格を持つスタッフの足立久美子さん(40)による「習字の日」を設けている。書に向き合う子どもたちの頑張りを褒めることで、自己肯定感を高めることに結びつけている。足立さんは「字を書く楽しさを通じて自信を持ってもらい、発達支援につなげたい」と話している。
管理者の上山智之さん(42)の発案で、1年半ほど前からの取り組み。書道8段の腕前を持ち、大学生の頃に師範資格を取得した足立さんが、子ども1―2人の少人数制で教えている。
書く字は、足立さんが「この字を書いてみようか」と子どもの学年などに応じて“ゆるく”決め、自身が筆を走らせて手本を用意するが、書きたい字があれば、それを優先するのがスタンス。映画やドラマのタイトルを書く子もいる。
書き終わるまで集中して座っていられたことや、力強く書けたこと、丁寧に筆を運べたことなど、それぞれが頑張ったポイントを褒めている。足立さんは「子どもたちは習字で集中力を高めたり、褒められることで自信を持てたりする。自己肯定感の充足が大きなテーマ」と語る。
「習字の日」は人気で、毎回、子どもたちが行列を作るほど。あえて大人数でしないことで、一人ひとりに目を配ることができ、時には子どもが抱えている思いを聞かせてくれることもあるという。
上山さんは「“習字カウンセリング”ですね。心のキャッチボールになっている」と話す。
利用者の小学6年生は、「習字の日がある月曜日が楽しみ」とにっこり。特別支援学校中学部2年生は「最初、習字は嫌だった。でも、好きな字を書いていいよと言ってもらえたから楽しくなった。自然に書きたいと思える」とほほ笑んでいた。