”靴泥棒ギツネ” 新たに小学校でも被害発覚 「今年になっていきなり」

2023.07.06
地域

不知庵で見つかった、泥で汚れた体育館シューズ

兵庫県丹波市氷上町成松の甲賀山の”靴泥棒ギツネ”による盗難被害がやまない。被害は、甲賀山の目の前にある市立中央小学校に及び、児童5人の体育館シューズ、学校備品の野球用グラブも盗まれた。たまたま被害児童の母親の勤務先でシューズが見つかったことで事件が発覚した。同校の下駄箱は屋外。同校はキツネから靴を守るのに頭を悩ませている。

6月20日に甲賀山東斜面中腹にある通所介護施設「デイサービス 不知庵(しらずあん)」の管理者、植野誠浩さん(39)が、敷地内の菜園に土で汚れた体育館シューズが落ちているのを見つけた。同施設介護士の増田智恵美さんの小学1年生の娘の名前が書かれていて、増田さんに渡した。娘は母から顛末(てんまつ)を聞かされるまで、シューズがなくなっていることに気付いておらず、学校も植野さんから連絡を受け、初めて事態を把握した。

中央小のキツネ対策。下段を空にした体育館の下駄箱と、動物忌避剤=兵庫県丹波市氷上町成松で

増田さんは「まさか娘の物が、とテンションが上がった。手元に戻ったので、盗まれたことよりも、よくここまで運んでくれたという気持ち」と、奇跡的な出来事に驚いている。シューズは傷がなく、洗って使っている。

分かっているだけで、計8足(5人)盗まれ、「不知庵」で2人分(計3足)が見つかり、同町常楽の田んぼでも1足見つかった。

同校は屋根こそあるものの、上履き、体育館シューズの下駄箱とも屋外。盗難発生を受け、下駄箱にすのこを立てかけたり、キツネがくわえられないよう下駄箱の下段を空にしたり、動物が嫌いな忌避剤を置いたりする対応を取っている。

不知庵の床下に現れた靴泥棒のキツネ。口を大きく開け、靴をくわえていった

黒田睦美校長は「教育委員会に報告し、相談している。キツネはどこからでも入って来れる。キツネに悩まされるなんて思ってもみなかった」と困っている。

植野さんは6月だけで50足ほどを回収。朝出勤すると、前日なかった靴が数足落ちており、連日、新しい被害が出ているとみている。

床下、菜園、前栽、駐車場、氷上中学校前から同施設へ続く道路と、あちこちに落ちており、同施設を拠点の一つにしているようだ。建物の周りにはふんが落ちている。

植野さんが拾った靴の一部。手にしているのは未使用の新品

未使用新品の幼児用ゴム草履、新品同様のサンダルなど、無傷の靴が一定数あるほか、シャツや帽子、マスク、手袋などもキツネが運んできた。中央小のグラブもあった。拾った靴は、ひかみ成松交流館(同町成松)に預けている。

植野さんは「去年まではなかった。今年6月にいきなり始まった。何が目的なんだろう」と、不思議がっている。

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