生徒数の減少が課題となっている兵庫県丹波篠山市内の篠山鳳鳴、篠山産業、篠山東雲の3高校の今後の在り方を考える検討会(委員長=酒井隆明市長)が発足し、市民センターでこのほど、1回目の会合が開かれた。3校の魅力向上を目的にした「市内高校活性化市民会議」を母体に、中学校や小学校のPTA代表者や公募委員などを加えて新たに結成。まずは現状を確認し、より良い在り方への議論をスタートさせた。
検討会は3校の校長や小、中学校校長会の代表、地域団体、保護者、公募委員のほか、アドバイザーとして元校長や学習塾の代表者など34人で構成。今年6月の市民会議で今後の議論を進める際、保護者や子育て世代の意見も聞く必要があるとの声があったことから、メンバーを拡充した。
冒頭、酒井市長は、「3校の魅力を高めて市内の子どもたちが進学してくれるように努めているが、県教委の統合・再編の問題は、丹波篠山も避けては通れない課題。2年後に統合校が発表されるが、公表されてから賛否を言うよりも、先んじて市民がどのようにしたらいいか、みんなで意見をまとめてより良い在り方を検討したい」とした。
3校とも定員割れとなっていることについて、PTAの代表者からは、「中学3年生の判断材料は、親や大人の意見よりも、子ども同士の意見。『ここが人気らしい』『ここは面白くない』などのメッセージが携帯に入ってくるらしい。今、通っている子どもたちが面白さを見いだし、『ここ良いよ』と思う子を増やしてほしい」などの意見があった。
また、「子どもは地元の高校に行ったが、『3年間楽しかった』と言っている」「篠山鳳鳴が来年から始められるSTEAM(スティーム)探究科はとても魅力的。ワシントン州への留学もあり、大きな目玉になる」という意見があった一方、「やりたい部活があるかどうかはとても大きい。それで市外に行った子もいる」という声も。ホッケーをしている子どもの保護者は、「市内の高校にホッケー部がないため、続けたい子にとっては選択肢がない。それが残念でしようがない。何とかホッケー部を復活してほしい」という意見もあった。
考えを問われた酒井市長が、「少子化の厳しい数字を見たときに3高校とも維持するのは困難。3校を2校にするか、1校にするかという議論もしたい」としたことに対し、同窓会代表は、「同窓会としては数の問題を議論することに抵抗感がある。前向きに3校とも残したいくらいの気持ちで、以前のように戻れないかという夢も見ながら話し合いたい」とした。
会議後、委員の一人は、「仮に統合したとしても、少子化の中ではいつかまた同じ議論になる。今の状況をチャンスと捉え、これまでにない方法で『教育のまち』として売り出せるほどになれば、移住者や子どもも増える。子どもたちとまちの将来に向けて、前向きに、気分が高まるような議論をしていきたい」と話した。
検討会発足の要因となったのは県教育委員会の高校教育改革。県教委は計画に基づき、現在125校ある県立全日制高校のうち28校を、28年度までに13校に統合・再編する計画を決定。丹波篠山市が入る丹有地区では25年度に統合校が発表される見込みとなっている。