「オオクワガタ」作出挑む 昨年は全長90ミリ超えも ”0・1ミリ”単位の世界

2023.08.13
地域

男性が今年かえした87・7ミリのオオクワガタ=兵庫県丹波市内で

クワガタムシ好きの憧れ、国産オオクワガタの繁殖に、兵庫県丹波市内の男性が趣味で取り組んでいる。昨年は全長「90ミリ超え」の90・1ミリをかえし、国内で一握りのトップブリーダーの仲間入りを果たした。今年はここまでの最高が87・7ミリ。先輩ブリーダーに教えを請い、各地の“クワ友”と情報交換しながら、0・1ミリでも大きな個体をと、研究を続けている。

子どもの頃からオオクワガタに憧れがあり、養殖を始めて丸4年になる。著名ブリーダーがつくった大型オオクワガタの「血統書付き」の個体や幼虫を購入し、自身で雄、雌を組み合わせながら、大物の作出に取り組んでいる。現在、血統の組み合わせを6種類試している。90・1ミリの個体(能勢YG血統)も大きな子孫を生む「父親」として期待を寄せているが、なかなか思い通りにはいかないという。今年は、ここまで雄2匹、雌十数匹がかえった。

キノコの菌が培養されたおがくずを詰めた菌糸ボトルの中で、高たんぱくの餌を与え、幼虫を大きく育てるのが基本。ボトルは4度交換し、どのタイミングでどんな餌を与えるのかを工夫する。

大きな雄と同じように、大きな雌を育てるのも難しく、58ミリ超えは、トップブリーダーでなければ安定的に作れないという。男性宅で生まれた59・1ミリの雌が卵を産まないなど、思うようにならない。「そこが難しさで、やりがいがある部分でもある」という。

菌糸ボトルで羽化を待つ雄のサナギ

サナギの蚕室の状態も重要で、ちょっとしたことで奇形になる。形が悪いときなどは、人工蚕室に移す。

一部を個人売買しているが、飼育は一定の温度、湿度を保つ必要があり、電気代がかかる上、生体や幼虫の購入費用、餌代もかかり、「年間数十万円の赤字」と舌を出す。

「専用の飼育部屋を持っているわけでもなく、ただの趣味。何やかんやと世話することがあり、勤めから戻って睡眠時間を削って世話をするのは、しんどいですよ」と頭をかいた。

国産オオクワガタの雄は0・1ミリ単位でサイズを競う。2022年度に93・2ミリの記録がある。

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