「理想を追い続けたい」
バレエと共に70年。バレエスクールを開設して半世紀の節目を迎え、三田市の郷の音ホールで20日、創立50周年記念公演を開く。丹波篠山市草野の本部、三田、丹波ゆめタウン、茨木(大阪)の4教室から3―76歳の教室生計約60人が出演。難易度の高い演目「シンデレラ」(全3幕)の上演に向け、夜遅くまで教室生と共に熱のこもった練習に励んでいる。
父親の影響で5歳からバレエを始めた。父・照之さんは今田町・和田寺の住職を務める傍ら、モダンバレエの舞踊家でもあった。そんな父が古市・宗玄寺の一室を借りて開いていたバレエ教室に2つ上の姉と通った。「タンバリンを手に指導している父は生き生きとしていて、本職が僧侶であることを忘れてしまいそうなくらいだった。葬式があるのに、バレエの用事で出かけてしまい、檀家さんから叱られたことも。母親は苦労したと思う」と懐かしむ。
20代前半で父のバレエ教室を引き継いだ。各地に教室を開設し、生徒数を増やしながら、洋舞公演や地域行事への参加をはじめ、各教室の発表会を催したり、学校や高齢者施設、病院などへの訪問活動を行ったりしてバレエの普及に努めた。
76歳となった今でも、つま先は軽々と頭上へ。「バレエ音楽に合わせて体をしなやかに動かすのは最高のストレス発散。いまも舞台に立ち、踊りたい気持ちがある」と目を輝かせる。
「子どもたちがバレエを通して成長し、前向きに活発になっていく。そんな姿をずっと見続けていたい」とほほ笑み、「夢は『白鳥の湖』全幕の上演。思い描くバレエに少しでも近づけるよう、理想を追い続けていきたい」。