当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波篠山市村雲地区にある「清滝観音堂」です。
村雲地区には、「きよたき」の名前がよく出てくる。例えば、たき認定こども園の旧名「きよたき幼稚園」。村雲地区のスポーツクラブ21の愛称「きよたっきー」。その由来は、地域に親しまれる「清滝山」から来る。
急峻な清滝山を約30分登った所に清滝観音堂がある。子授けの御利益があるとされ、口コミで広がり、県外からの参拝客もいるという。
子宝祈願の人は、観音さんそばにある人形を1体持ち帰り、子宝に恵まれたら、2体をお返しする習わしになっている。2体は購入したものや、手作りしたものでもよい。現在、15体ほど置かれており、その数はあまり変わっていないという。奇数月の18日に観音堂が開帳され、午前8時半―11時頃に祈願することができる。
観音堂は地域の人によって大切に守られている。村雲地区の垂水、小立の2軒ずつ計4軒が当番になり、2カ月に1
回、周辺を掃除してシキミを替え、おはぎやパン、菓子、茶などを観音さんに供え、般若心経と観音堂の御詠歌を唱える。さらに、毎年8月10日の「千日詣り」では、両集落の全戸で掃除や参道の整備などをしながら観音堂まで登る。
寺総代の堀井寿仁さん(75)は「子どもの時に遊んだ、親しみのある観音堂。高齢化で維持は大変だが、できるだけ後世に残していきたい」と話している。