音楽文化の振興に奔走
一昨年と昨年、丹波市内で開かれた「第九」演奏会の仕掛け人であり、事務局を務める。
ピアニストの多川響子さんの父親。一昨年3月、響子さんとオーケストラ「アンサンブル神戸」との演奏会が丹波市で催された。開催に向け、演奏会への誘客を図るため、市内の多くの音楽関係者に出会った。新型コロナ禍の時期。「コロナのために練習すらできないとこぼされる合唱団の人たちの話を聞き、何とかできないかと思った」
親しい音楽関係者と相談し、「30人の第九」を開催すべく実行委員会を立ち上げた。合唱団員20人、奏者9人、指揮者1人の30人。「これだけの小規模ならば、コロナ禍でもできるだろうと考えたんです」。事務局として会計、資金集め、練習会場の確保、出演者との連絡調整、チラシなどの印刷手配、チケットの販売管理など、山積みの作業をこなした。本番には予想を超える600人の聴衆が来場した。「音大卒業の団員から『第九を歌う機会を与えていただき、うれしかった』と言ってもらえ、報われた思いがした」とほほえむ。
昨年は、合唱を50人に増やして開催。今年も12月3日、オーケストラを含め総勢約110人の規模で演奏会を予定している。「今後の課題は資金。来年から県や市の補助金がなくなる。どう財政基盤を整えるか。事務局として最大の課題です」
第九演奏会を前に11月19日、響子さんやアンサンブル神戸、ピアノを学ぶ地元の児童生徒が出演する「ハートフルコンサート」を丹波の森公苑ホールで開催する。丹波の音楽文化を盛り上げるため、奔走する日々だ。多川さん(090・6234・7442)。73歳。