みこしのお供、子ども踊る秋祭り 発祥不詳の独自風習 女子の祭り参加策か

2023.10.07
地域歴史

公民館に集まり、秋まつりに向けて踊りの練習をする谷村子ども会の会員たち=兵庫県丹波市氷上町谷村で

新発意(しんぱち)踊り、西方神楽の伝統芸能の奉納で知られる、兵庫県丹波市氷上町新郷にある伊尼神社の秋の例大祭(8日)。子ども会がみこしのお供をし、新発意踊りの同町谷村、西方神楽の同町新郷の両集落内を巡行し、御旅所(21カ所)でダンスを披露して地域住民を楽しませる独自の風習がある。発祥時期は定かでないが、六十数年前、子どもみこしを取り入れたのがきっかけで始まったとみられる。神幸祭もダンスも4年ぶりの復活。両自治会の児童が練習に励んでいる。

みこしが先頭、続いて新発意踊りか西方神楽、その後に谷村、新郷それぞれの子どもみこしが続く。午前9時ごろに出発し、神社に戻るのは午後3時ごろ。御旅所に着くたびに子どもみこしを止め、谷村、新郷それぞれが踊り、隣保の人からご祝儀を受け取る。

両集落の50―80歳代の男性の話を総合すると、子どもみこしの導入が踊りの始まりに関係しているよう。女子が祭りに参加できるように考え出されたことがうかがえる。

谷村の80代男性によると、六十数年前に先に新郷が子どもみこしを導入し、少し遅れて谷村が自前で作った。谷村の70代男性によると、昔は踊るのは女子だけで、男子は子どもみこしを担いでいたという。時代が下り、男子の人数が減り、みこしの担ぎ手がなくなり、40年ほど前から男女で踊るようになったという。

新郷の50、60代男性によると、男子児童は青年に手伝ってもらってみこしを担ぎ、踊りは1曲。女子は2曲だった。「みこしにタイヤが付き、男女一緒に引くようになり、踊りもいつの間にか1曲になった」とか。

谷村子ども会(中川広佳会長)は、児童21人と保護者で「ダイナミック琉球」(イクマあきら)を、新郷子ども会(大前龍次会長)は児童44人で「ツバメ」(あおきいろ)を踊る。

谷村の小学6年生は、「運動会の種目『表現』の方が難しい」「悔いの残らないように」「指を伸ばすところをしっかり伸ばす」と抱負。

中川会長(41)は、「よその秋祭りを知らないので、踊るのが当たり前。他地域の人に話すと、『珍しい』と言われ、自分たちが他にはないことをしていたんだと気付いた」と笑っていた。

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