「竹のことなら阪下に」
神戸大学大学院農学研究科の2回生。農村で暮らす住民たちへの聞き取りから、農業や山林などの管理の実態や意識を調査し、そこから見えてくる課題や解決策を考察する研究に取り組んでいる。それと同時並行で、昨年から半学半域型の地域おこし協力隊員として、丹波篠山市畑地区を拠点に、「竹から始まる地域内外の枠を超えた連携及び農業への活用」をテーマに活動。全国各地で放置竹林が見られるように、すっかり厄介者となってしまった竹の利用価値を創出し、竹林整備などを通じて地域と地域外の交流を進めている。
最近の取り組みとしては、7、8日に行われた佐佐婆神社のはた祭りに、竹で作った灯ろう60本を境内周辺に飾り、祭りを一層、華やいだものにした。このほか、竹チップを有機肥料とした黒豆栽培の実証実験を行っており、現在、慣行栽培と大差なく生育している。「『竹のことなら阪下に聞こう』と言ってもらえる存在になりたい」
高校時代、両親の家庭菜園の隣で、竹チップを肥料として立派な野菜を育てていた人がいた。それが有機肥料に興味を持つきっかけとなり、放置竹林問題も関心事となった。高校の卒業研究はこれらをテーマとして探究。書き上げた作文は、日本農業教育学会主催の意見文全国コンクールで見事トップに輝いた。「私をこの道へと決定づけた出来事だった」
将来は農業高校教員を志望。「協力隊で経験している、地域に出る学習の機会を大切にした地域との関わり方やプロジェクト研究の進行などで生徒を指導できる教師になりたい。ひいては農業に関心のある若者を増やしていけたら」。三田市出身。24歳。