「共に考え、悩みたい」
神奈川県を中心に関東で医療、教育、福祉、産業などの分野で、悩める人のカウンセリングやメンタルケアなどを行い、より良い支援を相談者と一緒に考えてきた。子育てが一段落したのを機にUターン。今年、「ストレスケア研修・相談センター」を立ち上げ、必要なときに気軽に相談できる場を提供している。
あるドキュメンタリーに影響を受けて児童養護施設の職員を志し、短大時代に泊まり込みの実習を経験。そこで出会ったのが虐待を受けた子どもたちだった。表面的には明るく振る舞っていたが、胸の内をきちんと理解したいと思ったのが、この道に入るきっかけだった。先進地、アメリカへ渡ることを決意。「泣きながら」猛勉強し、現地の大学などで心理学を学んだ。
現在は、兵庫県内や京都府の小・中・高校でスクールカウンセラーを務める傍ら、同センターでは「精神科に行くほどではないが、誰にでも言えるような話でもない」という相談に応じている。さまざまな問題が複雑に絡むケースもある。30年近い経験の中で、何万という人と向き合ってきた。「“生きている人”である立場は同じ。誰しもいつ何が起きるか分からない中で、相談者にはたまたま悩み事があるだけ。悲しみ、苦しみの中で共に考え、悩み、伴走していきたい」
ヤングケアラーや虐待、ハラスメントなどの社会問題、各種法律や制度、脳科学に至るまで幅広い知識が必要で、常に研さんを続けている。「大変な環境の中で、本当によくやっている子どもたちがいて、その姿からエネルギーをもらう。自分も頑張っていないと、そんな子たちと付き合えない」。息抜きは友人と行く温泉旅行とヨガ。59歳。