最高のパフォーマンスを 市民ミュージカル上演 「宿命」テーマに

2024.01.31
ニュース丹波篠山市地域

市民ミュージカルへの意気込みを語りながら、来場を呼びかける関係者たち=兵庫県丹波篠山市北新町で

田園交響ホール(兵庫県丹波篠山市北新町)で2月11、12日に上演される市民ミュージカル第11弾「ノートル=ダム・ド・パリ」の出演者らがこのほど、同ホールで記者会見し、本番への意気込みを語った。フランス人作家、ヴィクトル・ユゴーの名作をオリジナルの脚本で舞台化し、残酷さや美しさ、命の尊さなど、人が持つさまざまな側面を伝える作品。出演者らは、「演者にプロはいないけれど、市民ミュージカルの枠に収まらないくらいの最高のパフォーマンスを披露したい。ぜひ見に来てほしい」と来場を呼びかけている。

舞台は15世紀のパリ・ノートル・ダム寺院。美しい娘、エスメラルダを巡る邪恋や、醜い鐘つき男、カジモドの彼女に対する純粋な愛を描いたフランス・ロマン派の代表的作品として知られ、世界中で映画化、演劇化されている。市民ミュージカルでは、自分の意志だけではどうしようもない「宿命」をテーマにした。

演出を大阪の演劇集団「パインコーン」代表の松本昇三さん、脚本を勇来佳加さんが務め、小学1年生―70歳代の市民ら71人が出演。これまでに約50回の稽古を重ねており、本番が近づいた現在は週3日のペースで励んでいる。22年前の第1弾から参加している人や親子2代で参加する人もいる。

会見で松本さんは、「物語としてはものすごく残酷。『愛』の話であるがゆえに、あえて残酷な部分を多くした。見ていただいた方に人の素晴らしさのようなものが残れば」と語った。本番に向け、「みんなで一つの方向に向かって取り組む姿が素晴らしく、年々レベルが上がっている。ミュージカルのために何かしようという人も多く、出演者の意識の高さがうかがえる」と、仕上がりに太鼓判を押した。

勇来さんも、「欲望や愛情などとにかく生々しいが、どの人物も一生懸命その時代を生き、歴史を積み重ねてきた。それが美しい」と言い、「このミュージカルは1回目にできるものではなく、これまでの積み重ねがあって、信頼するメンバーがいてくれるからこそ」と感謝した。

会見には出演者の太田信幸さん(48)、井上和美さん(68)、岩田瑞希さん(29)、岸田有貴さん(38)の4人も同席した。

親子で出演し、何度もミュージカルに参加してきた太田さんは、「最初は娘の思い出づくりになればと参加したが、千秋楽を迎えた時の感動が忘れられず、病みつきになった。ミュージカルがきっかけで劇団にも入り、いまやライフワーク。今回は子どもと一緒の場面があり、舞台上で泣いてしまうほど」とはにかみ、「物語を見つめる石像にも配役があり、出演者の誰に注目して見るかで感想が変わってくる。何回も見てほしい」と来場を呼びかけた。

岸田さんは、「演者だけでなく、衣装や音響のスタッフもボランティア。裏方も含めて魂を込めているので、ぜひ細かいところまで見てもらえたらうれしい」とほほ笑んだ。

公演は両日とも正午からと午後4時から。

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