”ニッチ”な需要応える 製材所が広葉樹販売拡大 木工愛好家に向け

2024.02.20
ニュース注目

45種類もの木材を扱い、敷地内で板材や角材の販売もしている足立製材所の足立代表=兵庫県丹波市山南町井原で

兵庫県丹波市山南町井原の「足立製材所」は、”ニッチ”な木材需要に応えようと、広葉樹の製材に力を入れている。建築用ではなく、作家や趣味で木工を楽しむ人たちのための木材で、敷地内に設けた販売所には、遠くから買いに来る人もいる。さまざまな板材や角材がずらりと並び、足立光敏代表(72)は「一般の人も気軽に買いにきてもらえれば」と話している。

製材しているのは、クリ、ホオノキ、カヤ、ケヤキ、アスナロなど45種類。チャンチン、ケンポナシといった、あまり聞き慣れない木材も並ぶ。地元の木工作家をはじめ、県内の仏像彫刻のグループなども固定客となり、同製材所の木材を頼りにしている。

足立代表と、息子の俊介さん(41)が2人で経営。以前は建築用のベイマツ製材が中心だったが、在来工法の住宅が減ったことなどで需要が減少。新たなニーズを掘り起こそうと、製材が難しい広葉樹に目を付けた。現在も建築用のスギ、ヒノキの製材が事業の主力だが、広葉樹の製材が徐々に増え、現在は3割ほどを占める。

八鹿木材市場(兵庫県養父市)と、丹波林産振興センター(丹波市柏原町下小倉)の原木市に週1、2回買い付けに行き、丸太を仕入れる。「広葉樹はいつも出ているとは限らないので、良い木材を仕入れるのが大変」と足立代表。「太くてまっすぐで、年輪の目が細かいのが良材」と話す。

丸太を製材する足立代表

また、広葉樹はそれぞれ性質が異なるため、「よく木の質を見極めないと、割れたり曲がったりする」。それでも、「木と勝負する感じでひいており、いろんな木をひくのが楽しい」とやりがいを感じている。木材は全て天日乾燥させている。

創業78年になり、光敏さんは3代目。「40―50年モノ」という年季の入った製材機械を、職人の技で使いこなしている。丸太をひく帯鋸の刃を鋭くする目立て職人が減っていることが将来的な懸念という。

 

持ち込みの製材(賃挽き)にも対応。販売所は、製材をしながら開けているため、事前に電話を。日曜定休。午前8時―午後5時。

関連記事