幻の滝「鳥ケ奥滝」 大雨の後だけに出現

2024.02.28
たんばの世間遺産地域注目自然

大雨の後にだけ現れる「鳥ケ奥滝」=兵庫県丹波市春日町黒井で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は兵庫県丹波市春日町黒井の「鳥ケ(ガ)奥滝」です。

国指定史跡・黒井城跡の麓にある、大雨が降った後にだけ現れる「鳥ケ奥滝」。滝と言っても、落差は2―3メートルがやっとという規模の”ミニ滝”。国土地理院の定義では、滝は「落差5メートル以上」とされており、これに当てはめると滝ではないが、同城跡への登山を楽しむ人たちの間では「幻の滝」として親しまれている。

同町黒井の登山口「なだらかコース」に入ってすぐ。水が枯れていることが多いが、滝が出現すると、毎日、登山を楽しんでいる人でさえ「珍しい」と写真撮影に興じている。

郷土史研究家で、同城跡に詳しい村上正樹さん(68)によると、「鳥ケ奥」は地名。「今はお年寄りが使うかどうかくらいで、消えかかっている地名」という。村上さんの調べでは、山の中腹に水源があり、現在、湧き水の量はわずかだが、大雨時の水と合わさって滝になるという。

この水源について、丹波地域の戦国史を調査研究した本「丹波戦国史」に記述が見られ、「この地点が現在、黒井小学校の上、鳥ガ奥と呼ばれている渓流の原点であるので、ある程度の水量はあったのではないか」とある。

毎日、同城跡へ登山している竹村重雄さん(80)は、「なかなか見ることができない。年に数回くらいかな」と証言。滝が好きな登山ガイドで、「おタキちゃん」の愛称がある中辻郁美さん(41)は、「降水量が少ない冬に見ることは少ないけれど、梅雨の時などに見られる。かわいらしい滝」と話している。

関連記事