兵庫県丹波市春日町出身の島林昌子(しょうこ)さん(69)=鳥取県米子市=と、東京芸術大学4年生で、油画を専攻する次女の舞果さん(24)が、野良猫だった愛猫の実話を元にした絵本「ぼく どうなるの?」(今井出版)を自費出版した。昌子さんは「親子で読み聞かせをしてもらい、他者を思いやれる人になってほしい」と思いを語る。
主人公は愛猫「トッキー」。5年ほど前の11月、段ボールの中で冷たくなっている、生まれたての猫を保護し、家族として迎えた。
表紙の猫は、出合って間もない頃のトッキーがモデル。名門大で画力を磨く舞果さんが木炭で描いた。色は白黒。愛らしさの中に、昌子さんが「絵本に似つかわしくない」と表現するほど悲壮感が伝わる。ストーリーも舞果さんが考えた。
挿し絵と裏表紙は昌子さんが担当。絵の具や色鉛筆、クレヨンで描いた。裏表紙では、幸せに過ごせるようになったトッキーを明るい色使いで表現し、表紙と対比させた。美人画を描いていた母の故・上田美代乃さんの影響で絵が好きになり、趣味で漫画を描いていた時期もあったといい、温かみを感じる仕上がりになっている。
昌子さん宅では15年ほど前、以前は犬を飼っていた小屋に野良猫が勝手に集まるようになった。お腹を空かせる猫を放っておけず、餌を与え、飼うようになった。次第に数が増え、今は11匹の猫と毎日を過ごす。その経験から命の大切さを伝えたい、と制作した。
昌子さんの故郷丹波市の同級生にも贈り、「涙が出た」と感動の声が寄せられたという。200部を発行。税込み1100円。鳥取、島根に店舗を構える「今井書店」で購入できる。