兵庫県立篠山東雲高校2年のアグリプロダクト類型の生徒11人が、自分たちが育てた酒米で日本酒を醸造している鳳鳴酒造のほろ酔い城下蔵を見学した。酒造りの工程を学び、自分たちがデザインした包装紙で一升瓶のラッピング作業を体験した。
酒米作りを通した農産物の6次産業化の学習を深めることを目的に実施している恒例の校外研修。
生徒たちは、同社の営業課長、吉崎健太さん(39)の案内で薄暗い酒蔵を見学。蒸した酒米を冷ます放冷機や、もろみから清酒を絞り出す「槽(ふね)」などの道具を見て回った。米麹(こめこうじ)を造る部屋「麹室(こうじむろ)」に入った際、生徒たちが「圧迫感があるくらい狭い」と口にすると、吉崎さんは「米麹を造るのに必要な室温30―40度を保つため、わざと狭く造られている。壁や天井、床は二重構造で、断熱効果を上げている」などと説明した。
また、自分たちがデザインした包装紙で一升瓶のラッピングに挑戦。生徒たちは慣れない作業に悪戦苦闘しながらも、贈答用の商品に見られる手法で包装。瓶の口付近を「とっくり結び」で仕上げた。
熱心にメモを取りながら見学していた細山つばきさんは、「酒米を納めたものの、酒造りについてぼんやりとしか知らなかったが、たくさんの工程をへて造られていることが理解できた」と言い、今春も自分たちで育てた酒米の一部を使って醸造された日本酒「鳳鳴 田舎酒 純米 東雲の穂」の販売が始まることについて、「私は味わうことができないので、お酒好きのおじいちゃんにぜひ飲んでもらって感想を聞きたい」と笑顔を見せていた。
同校は2018年度から鳳鳴酒造と連携し、「日本酒プロジェクト」を展開。酒米「五百万石」「Hyogo Sake 85」の栽培を通して、生産から加工、販売までを学んでいる。今年度は、2種の酒米を計約1万3000平方㍍で栽培した。