”副業”で養蜂挑戦 「凝り性すぎる」道の駅従業員 特産目指しハチミツ生産拡大

2024.06.24
丹波市地域注目自然買う食べる

専用機具を使って蜜を搾り取る荻野さん=兵庫県丹波市市島町白毫寺で

兵庫県丹波市市島町白毫寺の荻野賢志さん(51)が、道の駅「丹波おばあちゃんの里」(同市春日町七日市)のスタッフとして働く傍ら、自宅で養蜂に挑戦。採取した天然のハチミツを、自宅そばの倉庫を改装した直売店などで販売している。自宅はのどかな山裾にあり、蜜源が豊富で、ミツバチを育てるには絶好の環境。養蜂方法を独学で研究しながら、生産量を年々増やしている。「ゆくゆくは市島の特産に」と夢を描く。

飼育するのは採蜜量の多い、約4万匹のセイヨウミツバチ。人けが少なく、のどかな環境の中で飛び回ることでストレスが少なく、後味がすっきりしていて、甘みの強いハチミツが採取できるという。無添加で体にも優しい。作業できるのは休日の週2日程度だが、年間200キロ前後を生産。採取から瓶詰めまでを全て1人で行う。

自宅2階のベランダに設置している巣箱

「丹波五大山養蜂」というブランド名で展開。直売店のほか、同道の駅、市島町内の牧場やキャンプ場、丹波篠山市内の温浴施設、通販サイトなどで販売している。ラベルデザインもカラフルで、土産物として手に取りやすい。「ヨーグルトやパンケーキなどにつけて、ダイレクトに味わってほしい」と話す。

車やバイクのカスタムを手がけるなど元々ものづくりが好きで、「凝り性すぎる性格」という。6年ほど前、「『丹波』というキーワードを生かし、何かものづくりができないか」と思い立った。

浮かんだのが、自宅前に広がる田畑、シイやカシの木、多くの観光客が訪れる名所・白毫寺のフジといった豊富な蜜源を生かし、自然を相手にする養蜂だった。ネットや書籍などで研究し、各地の養蜂場も視察。約1万匹を飼い始めた。

当初は自宅近くの森林に巣箱を置いていたが、野生のクマにハチミツを食べ尽くされる〝事件〟に見舞われた。それでも「やり始めたのに諦められない」と奮起。電気柵を設置し、クマの手が届かない自宅2階のベランダに巣箱を置くことで、飼育が落ち着いた。

販売しているハチミツ。ラベルのデザインもカラフル

巣箱周囲に張っている網の目は、天敵のスズメバチが入れない大きさに調整。冬場は、巣箱を発泡スチロールで覆って防寒するなど工夫を凝らした。徐々に生産が軌道に乗り始め、昨年、直売店をオープンした。

「防護服を着ていてもハチに刺されたことは何回もある。刺されるうちに耐性ができ、腫れなくなった」と笑い、「加工品を開発したり、地元の農業会社と手を組んだりして、ハチミツを食べてもらえるさまざまな方法を考えていきたい」と話す。

40グラム680円から。直売店は原則火・金曜日に開けている。

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