生命力みなぎる村のシンボル 県内最大カツラの巨木

2024.06.19
たんばの世間遺産丹波篠山市地域自然

杉木立の谷筋に威風堂々の姿で鎮座する大桂=兵庫県丹波篠山市藤坂で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波篠山市藤坂にそびえ立つ県内最大のカツラの木です。

威風堂々―。まさにその言葉が当てはまる見事な巨木。薄暗い杉林の中の谷筋にそびえ立ち、天に向かって葉を茂らせるその姿に感動のため息が漏れる。

樹高20―30㍍、目通り幹周りは約13㍍あるが、一本の幹が伸びているのではなく、株立ち状で十数本の幹の集合体。カツラとしては県内最大で、県指定天然記念物になっている。北海道から九州にかけて分布するが、丹波地域では自生は少ない。丹波篠山市内では黒岡の春日神社境内にも見られる。

毎年5月に藤坂の春日神社で営まれる御田植祭の神事に、このカツラの枝が苗の代わりとして用いられ、カツラの生命力にあやかり、稲が健やかに成長してくれることを祈願している。

 

県道沿いの登り口に立てられた住民手作りの看板

藤坂峠手前の県道の南側の山中に鎮座するが、「どこから登るの?」との来訪者の声が多いため、一昨年まで自治会長を務めていた中馬義治さん(67)が音頭を取り、集落の住民が集まって「大桂」と記した大きな看板を制作。昨年末、登り口に立てた。さらにそこから、登り坂の林道を800㍍ほど歩く必要があるが、あとどれくらいでたどり着けるのかを示す5―0合目の看板も設置し案内している。

中馬さんは、「季節や時間帯によっては神々しく感じられる見事な風景に出合える。後世に大事に残していきたい村のシンボルで、生命力みなぎるパワースポットでもある。一度、訪ねてみられては」と話している。

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